
クリストファー・ハミル-スチュワート
ロンドン:イランに課された制裁解除をバイデン政権が拒否したことで、イラン人たちの激しい怒りが高まっている中で、イランの反体制派集団が、イランの政権に制裁緩和の「命綱」を投げ与えないように警告した。
パリを拠点とするイラン国民抵抗評議会(NCRI)外務委員会の職員、アリ・サファビ氏はアラブニュースに、制裁解除は何一つ生産的なものをもたらさないだろうし、逆に国内と地域で、イラン政府に好戦的な態度を取り続けさせるだけだろうと語った。
「政権は現在程、こんなに程弱体化し、もろくなったことは今までありません」と、サファビ氏は語った。「イランの指導者、ムッラーたちに命綱を投げ与えることは、逆効果となり、イランの自由と民主主義が台無しになるでしょうし、地域的・世界的な平和と安全にとっても逆効果でしょう」
サファビ氏のコメントは、一般にはイランの核合意とよばれている2015年の包括的共同行動計画(JCPOA)の下で、イラン政府がその合意に戻って、「徹底順守」するまで、アメリカのジョー・バイデン大統領が、経済制裁の解除を拒否したことで、イラン人の怒りが高まっている中でのことだ。
イランへの経済制裁緩和と引き換えに、イランの核兵器の獲得を妨げることを意図したこの合意内容は、追跡手法が十分に考えられておらず、合意自体の中心的な目標を達成しそうになかった、とNCRIは主張していた。
「紛れもない事実は、どんな経済・政治的譲歩もイランを支配する神権国家の態度を変えることはないだろうということです」と、サファビ氏は語った。
「PMD(イラン政府の核開発プログラムに関する軍事的側面の可能性)に対処できていないことや、いつでも、どこでも査察に入れないことをはじめとして、この合意内容の致命的な欠陥のために、JCPOAはイラン政府の核爆弾開発への道を永遠に妨げていませんでした。2018年以降、イラン政府の質の悪いJCPOA違反こそ、何よりの証拠です」
サファビ氏が示唆したように、2018年以降、イランはこの合意の条件に数多く違反している。
イランの主要な大臣クラス以上の者たちは、国際査察団を核施設から締め出すと繰り返し脅してきており、国内中に新たな核施設を建設することを誓い、核爆弾をつくるために使用される中心となる核物質、ウランの濃縮率を、この合意で認められている以上の極めて高いレベルにまで高め始めた。
アメリカの上院で新たに承認されたアントニー・ブリンケン国務長官は、イランがこの合意の条件に戻る場合に限って、アメリカはこの合意に戻るが、「私たちがそこに到達するまでに、まだ長い道のりがあります」と述べていた。
同氏は次のように述べていた。「イランは多方面にわたって、条件に従っていません。そして、万一イランがそうすると決断をしたとしても、イランが私たちに遅れずに、条件順守に戻ってから、イランがその義務を果たしているかどうかを、今度は私たちが査定するわけですから、これには時間が掛かるでしょう」