• 共和人民党（CHP）によると、ベラト・アルバイラク前財務相の任期中に1,280億ドルの外貨準備がトルコリラを安定させるために使用された
• トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は2月24日に、巨額の金が同国のコロナウィルス対策に充てられたと述べている

アラブニュース

アンカラ：トルコの中央銀行から消えた1,280億ドルの外貨準備が引き金となって、資金の使途の説明を求める野党の広報運動と、質問を封じようとする警官行動が巻き起こって　　いる。

共和人民党（CHP）は、ベラト・アルバイラク前財務相の任期中に1,280億ドルの外貨準備がトルコリラを安定させるために使用されたにもかかわらず、その価値が暴落していると言い、国の外貨預金の使途を調べるのは政党の憲法上の権利だと主張する。

CHP は国中に自党の垂れ幕を掲げ、消えた資金の行き先を問い正すと同時に、トルコが直面している財政上の困窮ぶりについて国民の認識を高めようとしている。

CHPの動きを阻止するために、警察部隊が高圧放水砲や武装車両を使って出動した。バルコニーに掲げられた垂れ幕はパンデミック対策という口実の下で警官たちによって取り外さ　れた。

CHPは、警察が取り外し続ける限り、自分たちも建物や広告板に垂れ幕を掲げ続けると誓っている。

「我々は貧しい人々、困窮する人々、孤児たちのための金について尋ねているのだ」とCHP党首ケマル・クルチダルオール氏がツイートした。

何百人ものCHP議員や党員が個々のソーシャルメディアのプロファイル写真を、彼らの広報運動を示す「128」に置き替えている。

ナチ・アグバル中央銀行前総裁は、この消えた外貨準備について調査を開始しようとして解任されたと言われている。

中央銀行は過去20年間に総裁を4回替えている。どの人物もそれなりの理由はないのに大統領のひと声で解任されている。

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は2月24日に、巨額の金が同国のコロナウィルス対策に充てられたと述べている。

中央銀行の外貨準備は、現在約432億ドルに相当するとみられている。

ゴールドマン・サックスは11月に、トルコ中央銀行はリラの下落を食い止めようとして、2020年の最初の10ヶ月で1千億ドル以上の外貨準備の使い方を誤ったと述べている。

「NASAの2020年度予算は226億ドルだ」と著名ジャーナリストのシェリフ・トゥルグト氏はツイートする。「1,280億ドルあれば火星へだって行けたのに」

CHPのカミール・オクタイ・シンディル議員によると、外貨準備の消失はトルコ政府の財務における透明性の欠如を表すもので、複数の政府-民間提携プロジェクトがトルコの会計裁判所の監査から免除されていたこともあるという。

議員たちは国民の意思の代弁者であり、彼らの主な使命の一つは国の予算と財源を監視することだ、とシンディル氏は説明する。

「我々はこの権利を憲法から与えられている」と彼はアラブニュースに語る。「トルコ市民はすでに巨額の税金を払っており、政府が使う金は1銭たりともその使い途について説明を受ける資格がある。中央銀行のこのような行動はトルコ経済の信用を大幅に損ない、トルコ経済の機能ぶりに対する信頼が崩れていくにつれて、海外投資家は我が国への投資をしたがらなくなる。一国の経済機能は独裁制によってそのように左右されるべきものではない」