• アウン大統領が前向きな姿勢を見せさせすれば、ハリーリ首相は新たな閣僚編成を提示するだろうと、未来運動の有力者がアラブニュースに語った
• レバノンの中央銀行であるレバノン銀行は、国内外に保管されているドル資金を集めるための電子プラットフォームを開設した

ナジャ・フサリ

ベイルート：イタリアのマリーナ・セレーニ外務・国際協力担当副大臣は月曜日、レバノンのミシェル・アウン大統領に対し、「すべての権限を引き継ぐ政府の樹立を通じて、深度のある構造的な改革を開始する」必要性を繰り返し述べた。

セレーニ外務・国際協力担当副大臣は、レバノンのすべての政党に対して、意見の相違を脇に置き、国益を優先し、協力して政府を樹立するよう改めて呼びかけた。

副大臣は、レバノンが持続可能な発展の道に戻り、国際通貨基金（IMF）との交渉を再開するためには、政府が必要だと述べた。

イタリア政府高官は、「民主主義のメカニズムは、2022年に予定されている選挙カレンダーに沿って、規則どおりに機能し続けるべきだ」とレバノン大統領に念を押した。

副大臣の発言は、来年5月に予定されている議会選挙について言及したもので、レバノン国内の政治家たちは、現在の支配権を維持するために投票日の延期を画策している。

セレーニ副大臣は、「イタリアはレバノンを中東の安定と平和のための重要なプレーヤーとして見ている」と強調した。

セレーニ副大臣は、「イタリアのステファノ・デル・コル将軍が率いる国連レバノン暫定軍（UNIFIL）は、ブルーライン（国連がイスラエルとレバノンとの間に設定した暫定境界線）沿いの安定を維持し、緊張を回避するために重要な役割を果たしており、特に、多大な緊張とひずみを伴う現在の状況の中、貢献している」と述べた。

レバノンでは、ベイルート港の爆発事故後、ハッサン・ディアブ政権が退陣し、10月22日にサアド・ハリーリ氏が首相に指名されて以来、政府の空白状態が続いている。

真空状態が継続しているのは、ハリーリ首相がテクノポリティカルな政府の樹立を拒否していることと、アウン大統領がブロッキングサード（拒否権）を持つことと「憲章と国家のバランス」を主張していることによる。

フランスのイニシアティブでは、非政治的な専門家による政府を形成することができなかった。そのため、フランスは改革を妨げている人々に対して制裁を加えると脅している。

イード・アル・フィトルの祝日を前に、ハリーリ氏が首相を辞任するのではないかという期待が高まったが、未来運動のアハメド・ハリーリ事務局長は月曜日、この期待を「メディアの憶測にすぎない」と表現した。

ハリーリ事務局長はまた、「政府の問題は現状のままであり、首相指名者からは何も発せられていない。彼は、国益や国民の懸念を含め、正しい判断に至るためにあらゆる手順や選択肢を検討しながら、次の段階で明確な立場をとるだろう」と述べた。

未来運動の副党首であるムスタファ・アロウシュ博士はアラブニュースに次のように語った：「共和国大統領はハリーリが辞めることを望んでいないという話しもあるが、この話しには明確な、前向きなシグナルがない」

「アウン大統領が前向きな姿勢を見せれば、ハリーリは新内閣の編成を提示する用意がある」

アロウシュ博士は、アウン大統領の「憲章と国家バランスの遵守へのこだわりは、そもそも憲章は、憲法に基づいてイスラム教徒とキリスト教徒が政府に参加することで保証されているので意味がない」とも述べた。

アロウシュ博士はこうも言っている：「決定を政府内に留めておくことについては、憲章の問題ではないので、まるで国を誘拐して人質にしているようなものだ」

政治的状況の変化を待つ一方で、レバノン人が苦しむ経済的・社会的危機のリストは長くなり続けている。

厳しい電力供給制限や、ガソリンや薬の不足などに対する新たな不安、街頭での抗議活動が頻発している。

月曜日、抗議者はベイルートではゴミ箱で、トリポリでは車で道路を封鎖したが、治安部隊が取り除き、道路交通を再開している。

北部ベッカー渓谷のヘルメルにある給油所のオーナー数十人は、40を超える無免許給油所を閉鎖する司法判断に抗議行動を起こしている。

彼らはグラン・セレール（官公庁）の前で座り込みをした。

ヘルメル地域には、補助金付きの燃料をシリアに密輸する違法な輸送ルートがいくつか存在する。

闇市場での不安定なドル為替レートを制御するために、レバノン銀行は月曜日、ドル市場の透明性を高めるために電子バンキングプラットフォームを立ち上げた。

このプラットフォームは、銀行に向けられた需要と供給から価格を決定し、外国の現金、具体的にはドルを売買するプロセスを促す。

中央銀行のプラットフォームを利用した、オペレーションシステムは、トレーダー、輸入業者、政府機関、個人が利用可能である。

中央銀行は為替相場の変動を抑えるために介入し、投機を抑えてドルをコントロールする。

エコノミストのルイス・ホベイカ博士は、このプラットフォームは「時間を稼ぐための一時的な措置」だと述べている。

ホベイカ博士はアラブニュースに次のように語っている：「問題は市場でのドルの供給にあり、それが弱いため、プラットフォームはドルの為替レートを恒久的に下げることはないだろう」

「自宅にドルを保管している人が、プラットフォームにドルを出してくるかどうかは疑問だ。なぜなら、彼らにとって、問題はプラットフォームにあるのではなく、国や銀行、中央銀行に対する信頼を失っていることにあるからだ」

また、「このプラットフォームの目的は組織的で、海外から資金を引き付けることができれば、それは良いことである。レバノンの平均為替レートは1ドル＝4,000～5,000レバノン・ポンドであるが、国の安定性で動く。闇市場は、そこで取引されるドルがある限りなくなることは無い」とも博士は述べている。

「このプラットフォームをまずは1ヶ月間、試してみなければならない」