
ワシントン: イスラエルが近年最大の政治的混乱に見舞われ、先月のガザ地区ハマスとの紛争の余波を受けている中、同国のベニー・ガンツ国防相は木曜日、イスラエル安全保障への米国による関与の再確認を求めた。
ガンツ国防相の訪米の主目的は、イスラエルが「アイアンドーム」システムを補充するに当たり、米国からの資金援助を確保するためだと考えられている。アイアンドームは最新式の防空システムで、先月、ハマスからイスラエルに向けて発射された4000発以上のロケット弾を迎撃した。1週間以上にわたるイスラエルの空爆とハマスのロケット弾で、ハマスが支配するパレスチナ自治区のガザで254人、イスラエルで12人が死亡した。
アントニー・ブリンケン国務長官はガンツ国防相とともに短い記者会見に現れ、米国は、イスラエルの安全保障問題に加え、紛争で損壊した住宅やインフラの再建のためのガザ地区への資金提供についても、同国防相と協議していると述べた。ガンツ氏は同日、ロイド・オースティン国防長官との会談を含む他のいくつかの予定を入れている。
バイデン政権は、ガンツ氏訪米の前夜、アイアンドームへの資金提供の継続を約束していた。
ニューヨークを拠点とする研究団体のイスラエル政策研究所に対して、ジョーイ・フッド米国務次官補代理が、「今回の紛争で、我々両国が共同開発したアイアンドーム・システムが罪のない多くの民間人の命を救うのを目の当たりにした」と語った。
ジョー・バイデン大統領は、「イスラエルの将来の自衛能力を支援する同システムの補充を支持することを明確にしている」とフッド次官補代理は述べた。
サウスカロライナ州のリンゼイ・グラハム共和党上院議員は今週、ガザ紛争後の支持を表明するためにイスラエルを訪れているが、アイアンドームに関しては、システムの迎撃ミサイル補充を含め、イスラエルは最大10億ドルの米国支援を求めることができるのではないかと述べた。
イスラエルのアイアンドームに関する米国の協力関係は、議会から超党派的な幅広い支持を得ているが、これはイスラエルの防衛力への支持全般に関して言えることで、米国が何十年も信条としてきた外交方針だ。しかし、2014年以降で最も熾烈なイスラエル・パレスチナ間の戦闘であった先月の紛争は、バイデン氏の所属する民主党内部の亀裂を露呈した。密集したガザ地区でパレスチナ人の死者数が増えるに連れ、進歩派などが、ハマス側だけでなくイスラエルにも停戦を求め、バーモント州無所属のバーニー・サンダース上院議員は、米国はパレスチナ人と長期的な紛争下にあるイスラエルとの付き合い方には「公平な」態度をとるべきだと述べた。
今回のガザ紛争は、イスラエルによるアル・アクサモスクでの高圧的な取締りや、数十世帯のパレスチナ人家族がユダヤ人入植者から強制退去を迫られていることに抗議するパレスチナ人を支援するために、5月10日にハマスがエルサレムへロケット弾を発射して始まった。アル・アクサモスクは、ユダヤ教徒とイスラム教徒にとっての聖地である。
バイデン氏とその政権は、イスラエルの防衛への支持とハマスの攻撃への避難を強調しながら、両者に対して扇動的な動きの回避を強く呼びかけてきた。長期的には、パレスチナ人たちの国家樹立を含め、現在停滞中の和平プロセスの復活を支持するという米国の立場を維持するとしている。
イスラエルのトップ同盟国である米国にガンツ氏が訪問したのは、イスラエルの野党指導者らが連立し、12年という記録的な長期政権に就いてきたベンヤミン・ネタニヤフ首相を追い落とそうと模索している中でのことだった。
ガンツ氏はネタニヤフ氏の失脚を目指す連立野党の一員だ。政権交代後も、ガンツ氏は国防相としての現職に留まると見られている。
AP