
カイロ:リビアの外務大臣は金曜日、欧州の海岸に移民が到達するのを抑止するシステムは根本的な解決ではなく、EU諸国の利益にしかなっていないと批判した。
彼女の発言は、移民船を迎え撃って陸に戻した上で移民を拘束するリビア沿岸警備隊などに資金を提供しているEUの政策を痛烈に非難するものだ。
ナジャ・マンゴーシュ外相は、イタリア政府が主催する地中海をテーマとする会議の 「移民問題への対応」と題されたセッションで、ビデオ通話を通じて発言した。
「私たちに問題を押し付けないでいただきたい。また、リビアを指さして、私たちが難民を虐待し軽視している国であるかのように言わないでいただきたい。根本的な問題に向き合わず表面的な解決策を提示することにはもう飽き飽きです。同じことを何度も繰り返すのはやめて、問題を名指しして直面する時です」と彼女は言った。
欧州連合(EU)はこれまで、移民の渡航を阻止しようとするリビア国内の取り組みを非難してきたが、同時に移民を乗せた船を定期的に迎撃するリビアの沿岸警備隊を支援している。その結果多くの移民が残酷な収容施設に入れられ、劣悪な環境で無期限に拘束されたり、報酬と引き換えに身代金を要求されたりしていると、そこから脱出した移民たちは話す。
欧州連合は、援助機関を通じて間接的に収容施設に資金を送っている。
マンゴーシュ氏は演説の中で、虐待の告発には直接は触れ無かった。
リビアは、アフリカや中東での戦争や貧困から逃れ、ヨーロッパでのより良い生活を望む移民たちの主要な中継地なっている。毎年、アフリカ、中東、南アジアからの何千人もの移民・難民が、過密で多くの場合海洋航行には向かない船に乗り、命がけで地中海を渡ってヨーロッパを目指している。
国連移民局によると、2021年にリビアやチュニジアからイタリアやマルタに向けて中央地中海を横断しようとした1,300人以上の男女や子どもたちがこれまでに命を落としている。
EUは2015年以降、国連機関を通じて 4億5500万ユーロをリビアに送っており、その大部分はリビアの沿岸警備隊の強化、南側国境の強化、移民の条件改善に利用されている。
リビアでは、ぞれぞれ武装勢力や外国政府の支援を受けた東西の政権間で、長年にわたり戦争と分裂が繰り返されてきた。長年にわたる国連主導の協議の結果、今月末には国政選挙が実施される予定だ。
マンゴーシュ氏は、リビアに必要なのは、移民の流入をコントロールするための南側国境のより良い警察システムであり、それが問題の根本的解決だと述べた。また、リビアに資金を提供するだけの解決策では決して十分ではないとし、過去の取り組みを「EUの計画やEUの見方にだけ役立つもの」と評した。
AP