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フランクリー・スピーキング:サウジとUAEは再生可能エネルギーの先駆者になりうる

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27 Jun 2022 01:06:21 GMT9
27 Jun 2022 01:06:21 GMT9
  • 国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の事務局長アドナン・アミン氏は、世界が気候変動の影響に苦しむ中、サウジアラビアとUAEは再生可能エネルギーの道を切り開くことができると述べている。

アラブニュース

ドバイ:UAEの気候変動担当特使であるスルタン・アル・ジャベール氏のシニア・アドバイザーであり、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の事務局長アドナン・アミン氏によれば、サウジアラビアとUAEは、気候変動の破壊的な影響がより明らかになるにつれ、再生可能エネルギーの先駆者となる可能性がある。

アミン氏は、アラブニュースのトーク番組『フランクリー・スピーキング』の司会者であるケイティ・ジェンセン氏に、UAEのグリーンエネルギーへの取り組みにおける急激な変化が地域の再生可能エネルギーへの取り組みに与える影響を説明した。

UAEは、世界で最も低コストの太陽光発電と世界最大級の太陽光発電所を有しており、2025年までに太陽光発電能力を3倍から4倍にすることを目指している。UAEは化石燃料製品の輸出は継続するものの、アブダビ国営石油会社(ADNOC)と並んで再生可能エネルギー分野のリーダーとなり、「世界で最も二酸化炭素強度の低い石油」を生産すると予測される、とアミン氏は述べた。

評論家は、UAEは依然として1人当たりの二酸化炭素排出量が多く、石油とガスが同国の年間国内総生産の3分の1を占めていると指摘している。アミン氏によると、これはこの地域の気温が非常に高温なことが一因であるとし、さらに、UAEが排出する二酸化炭素量は、依然として世界の半分以下であると付け加えた。

「UAE政府の脱炭素化へのコミットメントは疑う余地がなく、二酸化炭素強度が年々減少しているとのことです」と同氏は述べた。

アミン氏は、UAEがクリーンエネルギーのインフラ整備において進歩を遂げることで、サウジアラビアなど他の湾岸諸国も同様の対策を講じるようになるだろうと予測している。同氏は、サウジアラビア北部に計画されているスマートシティであり独立経済特区で、再生可能エネルギーのみで運営されるNEOMを、「低炭素都市」と呼んだ。

「サウジアラビアの再生可能エネルギー発電への新たな投資は、すべて大規模なものです。サウジアラビアで行われている研究開発への科学・技術投資は、本当に素晴らしい。サウジアラビアでは、グリーンエネルギー、地熱、新型の太陽電池、新型の建設資材など、あらゆる種類のイノベーションが行われており、さまざまな技術をテストしています」

クリーンエネルギーへの転換を世界的に公約しているにもかかわらず、複雑な国内・国際政治により、各国政府はしばしば気候変動に基づく法案の公約の規模の縮小を余儀なくされている。来月中東を訪問する予定のジョー・バイデン米大統領は、以前、2030年までに二酸化炭素排出量を半減させることを公約に掲げていた。

しかし、燃料費の上昇により、バイデン大統領は化石燃料の増産を要請せざるを得なくなった。アミン氏は、次回11月に行われる米国の中間選挙を暗に示しながら、「ガソリン価格の高騰は、どの政党にとっても選挙に不利になります」と述べた。

さらに同氏は、各国政府が気候変動に対して本格的な行動を起こすのは簡単なことではないが、「多くの人々が米国にもっと…国内外を問わず、この件に関してコミットメントし本腰を入れた措置をしてほしいと期待している、という予想もあります」と付け加えた。

燃料価格の高騰を受け、多くの国で化石燃料の生産とそれに必要なインフラ整備が進められている。しかし、このインフラは期限付きのものであるとアミン氏は言う。

「率直に言って、急速にクリーンエネルギーに移行する技術的・財政的能力を持つ国々において化石燃料が長期にわたって独占される現実的なリスクがあります」と同氏は述べ、各国は深刻化する世界のエネルギー危機に対し、よりクリーンで先進的な解決策を見つける努力をしなければならないと付け加えた。

同氏は、新しいインフラ、クリーンエネルギー、気候変動に耐性のある農業、水の安全保障への投資は、「将来的に実際にリスクがあると思われる分野です」と明言した上で、「各国政府が、過去の問題を倍加させたり再現したりするのではなく、この機会にさらに焦点を当て始めることを期待します」と述べた。

ウクライナ戦争や燃料危機の中で、欧州のロシア産石油・ガスへの依存度を下げようとする努力は、世界の二酸化炭素排出量に悪影響を及ぼす可能性があるが、しかしアミン氏は、明るい側面としては、この動きが太陽光、風力、地熱、水力などの再生可能エネルギーの導入を各国に促すかもしれないと説明している。

「再生可能エネルギーへの投資を増やし、再生可能エネルギーを実現するインフラの導入に着手する必要があります。その一環として、イノベーションとテクノロジーに投資する必要があります」と同氏は述べた。再生可能エネルギー分野では成長の基盤がある一方で、アミン氏は、デジタル化、超高圧送電網、送電網の安定化、スマートメーターはさらに開発を進める必要があると付け加えた。

「気候の影響予測で目にするすべてが、年々深刻化しているため、政治指導者の緊急課題として、この移行を実現する必要があります」

UAEは最近、クリーンエネルギー・プロジェクトに500億ドルを投資したが、すべての国が気候変動との戦いのために役割を果たしているわけではない。世界の気候を破壊した二酸化炭素の排出に大きな責任を負っている先進国の国々は、しばしば責任をもつことを躊躇してきたとアミン氏は言う。

「気候変動は地球規模の問題であり、世界中のすべての国がそれぞれの役割を果たす必要があります。しかし、最も必要なのは、そしてこれがボンで行われた国連気候変動会議で議論されていた問題なのですが、私たちが責任を分かち合うことです」と、同氏は国連気候変動枠組条約に向けて今月初めにドイツのボンで開かれた国連気候変動会議に言及している。

アミン氏は、二酸化炭素排出量に最も大きな影響をもたらしている国々は、「解決に貢献し、現在非常に厳しい気候の影響に直面している最も脆弱な国々に貢献する」必要があると付け加えた。

2021年にグラスゴーで開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)で、世界のリーダーたちは気候変動に直ちに対処することの重大性を強調した。当時、駐英サウジアラビア大使のハーリド・ビン・バンダル王子はアラブニュースに対し、「サウジアラビアは、この問題を解決するためおよび我が国ができる限りのことをするため、国際社会の中での立場を引き受ける用意があり、意欲と能力があります」と述べた。

サウジアラビアはこの会議の中で、「サウジ・グリーン・イニシアチブ」の一環として、2060年までに二酸化炭素排出量ゼロを達成することを誓った。次回の会議は今年エジプトで開催され、続くCOP28は来年UAEで開催される予定だ。アミン氏は、今後の会議は気候に関する約束を単なる誓約から現場での実現に移すことを目的としていると説明した。

「私たちは、世界的なエネルギー危機の状況について話し合ってきました。多くの国から制約を受けていることも話し合いました。融資が受けられないという事実についても話し合いました。次のCOPはエジプトで開催されますが、非常に重要なCOPになると思います。グラスゴー以来のCOP、つまり実現のためのCOPです。これは、エジプト政府をはじめ、世界中の人々が望んでいることであり、交渉から実現段階に移行しているということです」

気候変動の最大の原因である先進国は、脆弱な発展途上国が気候変動の影響への対処を支援することに「大きな抵抗」を示していると、アミン氏は述べた。しかし、2023年にUAEで開催されるCOP28までに、各国が気候変動対策に関する世界の取り組みを把握できるようになり、「そこから今後5年間のあるべき姿に向けた計画が生まれるでしょう」と、同氏は依然として楽観的である。

アミン氏は、気候変動が地球規模の問題であることに加え、全世界に広範囲かつ壊滅的な影響を及ぼすという集合的な問題であることを指摘した。

「私が恐れているのは、世界のさまざまな地域で一定期間ごとに複数の危機が発生し、それが世界のフードチェーンに影響を及ぼし始めることです。私たちはすでに食料安全保障に脆弱性を抱えています。多くの貧しい国々で、気候変動に脆弱な農業が行われており、率直に言って、将来、非常に深刻な食料不足に直面する可能性があるのです」

「私たちは、水の管理が急務である状況に直面しています。淡水資源が減少し、食料や水などの資源を巡る争いが起こる可能性があるのです」

さらに、干ばつ、海面上昇、氷河の融解、天然資源の破壊など、気候変動の影響で、人々が生き延びるために他の地域への移住を余儀なくされ、大規模な移住を引き起こす可能性があると同氏は指摘した。

「気候への影響を抑制せずに放置すれば、こうした複数の危機が一体となって、この世界にほぼ管理不能なレベルの不安定さを生み出すでしょう」と同氏は述べた。

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