モハメド・ナジーブ
ラマッラー:パレスチナの弁護士らが、「権利と自由を制限する」大統領令による法律に断固反対している。
マフムード・アッバース大統領が発行した数十の「法律による決定」の承認をめぐる抗議行動の開始から1ヶ月、弁護士らとパレスチナ自治政府の対立が深まっている。
これらは非合法的であると考えられており、国民の権利を無視して大統領府による支配を強化するものと言われている。
パレスチナ弁護士会はストライキ、デモ、座り込みなどの抗議行動を強め、裁判制度は麻痺している。
パレスチナ政府は弁護士らの要求にまだ応答していない。
弁護士会の高官筋はアラブニュースに対し、抗議行動を強めるつもりだと語った。
弁護士らの中心的な要求は、パレスチナ議会の不在のもとで87才のアッバス大統領によって非合法的になされたと彼らが言う400の決定の取り消しだ。
この騒動により、国際機関や援助国からパレスチナ自治政府に注目が集まっている。
そのうちのいくつかは、司法を混乱させるなという弁護士らの要求に対して行政当局が応答しないことに失望を表明している。
「司法の独立と法の支配のための市民委員会」の代表であるマジェド・アル・アロウリ氏はアラブニュースに対し、法律による決定、特に人権や公正な裁判の保証を脅かす司法法に対する抵抗がここ数ヶ月で広がっていると語る。
「法律による決定は、統治システム内の個人に利益をもたらすことか、議会の不在のもとで統治システムを調停することを狙っている。これらの決定によって、弁護士を含む国民の全体的な利益が影響を被っている」と同氏は言う。
弁護士会の要求は穏当なものだと同氏は言い、こう付け加える。「大統領府がこれについて決定を下して対話を始めるのに5分以上は必要ない」
パレスチナ自治政府の非妥協的姿勢により、弁護士会は街頭に出て、大統領や政府の本部への行進などの新たなデモの方法を採用せざるを得なくなったという。
一方、パレスチナ自治政府高官がアラブニュースに語ったところによると、ムハンマド・シュタイエ首相とムハンマド・アル・シャラルデ法相は問題となっている法律の決定について知らされておらず、それらの決定はイサ・アブ・シャラル最高司法会議議長が起草したものだという。
法務担当大統領顧問のアリ・ムハンナ氏がアッバス大統領に対して決定を提示し、大統領がそれらを「法令」として発行したと、同政府高官は主張している。
司法の威信と品位に影響する決定に対して抗議する権利が弁護士らにはあると同政府高官は言う。
パレスチナ弁護士会のスハイル・アシュール会長もアラブニュースに対し、今回の問題はパレスチナ大統領府ではなく、決定を起草した最高司法会議と大統領顧問に関係するものだと認めた。
大統領府から400以上の法令が出され発効した。法律を導入・監視する議会の不在のもとでアッバス大統領が用いる手法だ。
「我々弁護士が抗議活動を始めてから1ヶ月近く経つが、これらの法律を成立させた最高司法会議議長と法務担当大統領顧問に対する要求は無視された。抗議行動は続けていく」と同会長は語る。
同会長がアラブニュースに伝えたところによると、弁護士会は日曜日に会合を開いて弁護士らの登録解除について話し合う予定だ。任務をもはや実行できないからだという。
ヨルダン川西岸地区には約7000人の開業弁護士、3000人の研修生、500人の引退した弁護士がいる。
その全員が、パレスチナ自治区で最も影響力のある組合の一つである弁護士会のメンバーだ。
パレスチナの法律専門家によると、今回の問題により、2021年の議会選挙の中止決定に続いて国民の権利が無視されていることに対する人々の意識が高まったという。
「法律による決定を発行するための特定の仕組みはない」とアル・アロウリ氏は言う。
「一部の決定は個々人の大統領への近さに基づいて個別に発行される。政府が出すものもあるが、協議を経るものはほんの一部だ。これらの決定には国民は全く関わっていない」という。
「これら全ての危機から脱する方法は、大統領選挙と議会選挙をを実施せよという国民の要求に応えることだ」