• 「地中海での探査・掘削は、我が国の主権の範囲内である」と、レジェップ・タイップ・エルドアン大統領は述べた
• トルコは、海上国境と海洋エネルギー権を巡ってギリシャ、キプロスとの間で激しい紛争に引き込まれている

イスタンブール：トルコ大統領は9日、同国最大かつ最新の海底炭化水素掘削船を就役させた。同氏によると、掘削船は他国が権利を主張していない東地中海のキプロス北西海域に向かう。

「地中海での探査・掘削は、我が国の主権の範囲内である」と、レジェップ・タイップ・エルドアン大統領は南部メルシン県での式典で述べ、「誰からも許可や承認を得る必要はない」とだけ付け加えた。
トルコは、海上国境と海洋エネルギー権を巡ってギリシャ、キプロスとの間で激しい紛争に引き込まれており、2年前には東地中海で緊張が高まった。

エルドアン大統領は9日、新たに就役するアブドゥルハミド・ハンが、アンタルヤ県ガジパシャ沖約55キロ（34マイル）のヨルクレル1号井で掘削を開始するだろうと述べた。

「操り人形もその糸を握る者も、地中海で自国の権利を手に入れようとする我が国を妨害できないだろう」と同氏は述べたが、前者についてはギリシャとキプロス、後者についてはその西側同盟国を指していたのは明らかだった。

2020年夏、ギリシャが独占権を主張する石油・ガス海底鉱床の存在が見込まれる東地中海の地域に、トルコが軍艦に護衛された地震調査船を送り込んだことで、緊張が高まった。ギリシャは軍艦を派遣し、トルコ船団を追跡させた。その後、両国は軍事演習を行い、軍事力を誇示した。

トルコは、海上国境の線引きにトルコ沿岸のギリシャの小島を考慮すべきでないと主張し、ギリシャが東地中海の資源の分け前を不当に奪おうと試みていると非難している。

NATO同盟国である両国は、常日頃から相手の領空侵犯を非難しあっている。トルコは、ギリシャがトルコに近接したエーゲ海東部の島々で軍事力を整備し、国際条約に違反している、とも主張している。

トルコのその他の掘削船である、ファティ、カヌニ、ヤヴズは、天然ガスが埋蔵されていることをトルコが発見した黒海で操業している。4隻とも、オスマン帝国のスルタンにちなむ命名である。

AP