
ナジャ・フーサリ
ベイルート:海洋境界の画定に関する文書の中でレバノンが隣国のイスラエルを国家認定したことが示唆され、レバノン国内で10日に論争が巻き起こった。
政治的緊張が広く高まる中で両国は話し合いを続けてきたが、厳密に言えば戦争状態にある。
また、レバノン政治では反イスラエル派の影響が強く(特に、イランとつながりのあるヒズボラ)、関係改善の道は妨げられてきた。
第71836号として記録され、国連の公式サイトに掲載された問題の文書には「国際連合事務総長は、国際連合憲章第102条に基づき、以下の国際協定が事務局に登録されたことをここに証する。(中略)イスラエル国家とレバノン共和国(2020年10月18日。書簡あり)、エルサレム(2020年10月27日)とバアブダ(2022年10月27日)との海洋協定となる」と書かれている。
レバノンの複数のSNSユーザーは文書が公開された後、レバノンのミシェル・アウン前大統領とヒズボラを批判し、海洋協定がイスラエル国家を承認する条約に等しいことが示されたと主張している。
ある活動家は、匿名を条件にアラブニュースにこう語った。「国連の文書は明白。レバノンはイスラエル国家を承認し、ヒズボラの役割は共通の国境を守ることに限定された」
両国の海洋境界線は、米国の仲介による長い交渉を要したもので、一部では「歴史的」と評されている。
調印は、近年レバノンを襲った政治的・経済的危機により早まった。イスラエルが両国の間にある係争中のカリシュ油田から石油とガスの採掘を開始し、レバノン政府が領海での石油・ガス探査を急ぐ必要性が高まったためだ。
アウン氏とイスラエルのヤイール・ラピード元首相は、合意の文章を承認する2通の書簡に署名した。レバノンとイスラエルの国境にあるナクーラの国連施設で書簡は米国の仲介者であるアモス・ホッホシュタイン氏に届けられたが、両当事者の代表が握手することはなかった。
この協定はレバノンにカナ油田を与え、その一部をイスラエルと共有する内容。掘削権を与えられたフランスのエネルギー企業トタルエナジーズが、その収益の一部をイスラエルに支払うことを条件としている。イスラエルにはカリシュ油田が全面的に与えられた。
当時、ラピード氏は「境界画定協定は外交的、経済的な成果だ」とし、特にレバノンのイスラエル承認に言及した。「敵国が文書による合意を通じて、国際社会全体の前でイスラエルを国家認定することはそうそうあることではないので、これは政治的な成果だ」
レバノンは当時、イスラエル承認について否定していたが、今ではそれに疑問符が付いたかたちだ。
「海洋境界画定の合意書を通じて、レバノンはイスラエル国家の存在を承認しました」と、カーネギー中東センターのムハンマド・ハジ・アリ研究員はアラブニュースに語った。
「レバノンは、南の国境の安定およびガスがもたらす恩恵と引き換えに認定のカードを切ったのです。そうしたカードは、かつてアラブ世界とイスラエルとの交渉で非常に重要でした」
ヒズボラのハッサン・ナスラッラー書記長は、合意はレバノンや国家、人民、抵抗活動にとって大きな勝利だと語り、「合意書が交わされた状況は、正常化の交渉が不可能なことを示している」と述べた。
イスラエルとの交渉が続いている間、ナスラッラー氏はイスラエルがカリシュ油田を採掘していることに対し、武力行為もちらつかせていた。だが合意が締結されると、「抵抗活動に関して、使命は終わった。抵抗活動が採用していた例外的な措置はもう終了した」と述べた。