ベイルート:レバノン中央銀行のリアド・サラメ総裁は17日、個人資産に関する調査の一環としてベイルートで欧州司法調査団から2日目の尋問を受け、無実を主張した。
サラメ総裁(72)は、2019年後半に始まり、世界銀行が近年史上最悪と称した経済危機の責任を広く問われるレバノンの政治エリートの一人である。
サラメ総裁はレバノンと国外の別々の捜査で横領を含む犯罪の疑惑に直面しており、調査団は彼が30年間の在職期間に築いた財産を調査している。
17日に行われた3時間の尋問の後、サラメ総裁は「証人として出廷したのであり、容疑者としてではなく、罪に問われてもいない」という声明を発表した。
「レバノン中央銀行からの資金は私の口座に送金されていない」とサラメ総裁は声明で述べ、こう付け加えた。「私が国外で行った送金は、いかなる金額であっても私の個人口座からのものである。」
欧州司法調査団は、マネーロンダリングや横領の可能性を含む金融不正の疑惑を調べている。
欧州司法調査団は1月、ベイルートの銀行関係者から、サラメ総裁が多額の資産を持つ国への資金移動について聞き取りを行った。
また、サラメ総裁の弟を受益者として記載した英領バージン諸島登録の会社、フォリー・アソシエイツ・リミテッド社とレバノン中央銀行との関係も調査している。フォリー・アソシエイツ・リミテッド社はレバノンの国債やユーロ債を手数料を受け取って仲介し、その後、その手数料は国外の銀行口座に送金された疑いが持たれている。
サラメ総裁は、フォリー社への手数料で利益を得たことを否定した。
サラメ総裁は自身に対する「悪意」を強く非難し、法的苦境の原因は「進行中のメディアキャンペーン」だと述べた。
ベイルートの厳重な警備が敷かれた司法宮殿で16日行われた5時間以上の尋問は、欧州調査団による調査にサラメ総裁が初めて出廷した日となった。
尋問は15日に開始予定だったが、サラメ総裁は「国家主権に抵触する」と主張して姿を見せず、司法当局がこの主張を退けた。
以前、司法関係者がAFP通信に語ったところによると、手続き上の理由から、欧州司法調査団はレバノン人裁判官に質問を提出し、その裁判官が同席してサラメ総裁に質問を投げかける役割を担っていたという。
フランス、ドイツ、ルクセンブルクは昨年3月、サラメ総裁の個人資産に関するフランスの調査に関連して、1億2000万ユーロ(約1億3000万ドル)相当の資産を差し押さえた。
サラメ総裁は不正行為を繰り返し否定しており、何度も告訴や召喚があったにもかかわらず、捜査判事の前にほとんど姿を現さなかった。
先月、レバノン当局は独自の調査の一環で、サラメ総裁を横領、マネーロンダリング、脱税の罪で起訴した。
レバノンは、サラメ総裁とその弟による3億ドル以上の資金移動に関するスイス検察からの支援要請を受け、サラメ総裁の調査を開始した。
AFP