エルサレム:4月5日未明、イスラエル警察はアル・アクサモスクの敷地内で、数十名の礼拝者を攻撃したと目撃者が話した。イスラエル警察はこの行動を、暴動への報復だとしている。
この件を引き金に、占領下にあるヨルダン川西岸地区全域で抗議活動が起きた。イスラエル軍によると、南部の町では警報が鳴り響き、ガザ地区からイスラエルに向けて9発のロケット弾が発射された。
ここ1年で、ヨルダン川西岸地区およびエルサレムにおける暴力行為は急増しており、今月はイスラム教で神聖とされるラマダンの月とユダヤ教の過越の祭り、キリスト教の復活祭が重なるため、緊張がさらに激化するのではないかという懸念がある。
パレスチナ赤十字は、アル・アクサモスクの敷地内で起きたイスラエル警察との衝突で、先端がゴム製の銃弾と殴打により9人が負傷したと述べた。また、イスラエル軍はパレスチナ赤十字の医師がモスクに入るのを阻んだという。
「私は椅子に座り、(コーランを)朗唱していました」とある年配の女性はモスク前で呼吸を静めながらロイターに話した。「彼らはスタングレネード(閃光発音筒)を投げつけ、その中の1つが私の胸に当たりました」と彼女は語り、泣き出した。
イスラエル警察は声明の中で、覆面をした扇動的活動家の一団がモスク内に立てこもり、石や棒、花火で抵抗したため、敷地内に入らざるを得なくなったと説明した。
イスラム教の神聖な月、ラマダン中にエルサレム旧市街にあるアル・アクサモスクの敷地内の岩のドームで金曜礼拝を行うイスラム教徒たち。2023年3月31日(AP)
「警察が入った時、モスク内の扇動家たちの一団は石や花火を投げつけて応戦した」と警察の声明は述べ、警官1名が脚を負傷したと付け加えた。
アル・アクサモスクと同じ敷地内にはユダヤ教の聖地である神殿の丘があり、この場所で起きた対立は近年何度も暴力に発展してきた。
パレスチナ人の団体はイスラエルが礼拝者を攻撃したことを犯罪行為だとして非難した。
「我々は占領者に、聖地のレッドライン(超えてはならない一線)を超えることのないよう警告する。その場合、大きな爆発がおきるだろう」とパレスチナ自治政府のマフムード・アッバース大統領のナビル・アブ・ルデイネフ報道官は表明した。
ヨルダンとエジプトの両国は、アメリカが支援する最近のイスラエル・パレスチナ間の緊張緩和に向けた取り組みに関与しているが、個別に声明を出し、この事件を非難した。
ソーシャルメディア上では、花火が発火し、警察がモスク内の人々を殴打する様子を捉えた動画が出回っている。ロイターでは、この動画の真贋を現時点では検証できていない。
イスラエル軍は、9発のロケット弾がガザ地区からイスラエルに向けて発射され、内少なくとも4発が迎撃され、4発が空き地に着弾したと発表した。
ロイター