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思いやりの心でメンタルヘルスに取り組むサウジアラビアのサポートグループ

ジェッダサポートグループは、うつ病や不安神経症に苦しむ人々に、自らの気持ちを安心して表現し、他の人々と共有できる居場所を提供している。(Shutterstock)
ジェッダサポートグループは、うつ病や不安神経症に苦しむ人々に、自らの気持ちを安心して表現し、他の人々と共有できる居場所を提供している。(Shutterstock)
アメル・アルワフィ
アメル・アルワフィ
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03 Nov 2020 08:11:49 GMT9
03 Nov 2020 08:11:49 GMT9
  • サウジアラビアは、家庭内暴力、双極性障害など、さまざまな障害の種類に応じて、より多くのサポートグループが必要である

ディーマ・アルクデア

ジェッダ: うつ病や多くの不安神経症に苦しむ人々は、時にはその病いに打ちのめされそうになるが、それでも精神科のセラピーを受けるのは敷居が高いことがある。そうした時こそ、コミュニティ内で安全な拠り所があることが求められる。

2019年8月、31歳のアメル・アルワフィは、非営利の自助グループ(ピアサポートグループとも呼ばれる)であるジェッダサポートグループ(JSG)を設立した。このグループは、うつ病や不安神経症などで苦しむ人々を受け入れ、自らの経験や感情を共有できる安全な空間を提供することで、彼等を支援、理解を進めることを使命とする。

アルワフィは、自ら助けが必要なときに、ジェッダでサポートを受けられる場所を見付けられず、それが自らグループを起ち上げる意欲につながったと述べる。

「私自身がかつて、そうした場所を必要としていました。精神科のセラピストに遭う準備はできていませんでした。以前映画で見たのと同じように、気軽に話せ、私一人に注意が注がれず、周りに私を理解してくれる人々がいる、そうした場所が必要でした」と、 彼はアラブニュースに語った。

サポートグループへの加入は無料で、メンバーはライブセッションが開催される場所で、少額の料金を支払う仕組みとなっている。

「会合を開くのに適切な場所を見つけるのに苦労しました。誰もが費用を気にせずに参加できることが重要だったので、手頃な価格で、プライベートな場所を確保することが必要でした」とアルワフィは述べる。彼は、コミュニティが支援し、理解し、受け入れることが、うつ病やその他の精神的な病いを克服する事に役立つとも述べた。

「誰かが苦しんでいることが分かった時は、まず本人の言葉に耳を傾け、気にかけていることを示し、何か答える前によく考え、言葉を慎重に選ぶ必要があります」と彼は述べる。「私たちはコミュニティとして、思いやり深くなることに投資しなければなりません。私たち全員が手をつないで、より良くなるために共に努力すれば、きっと病との闘いに勝つことが出来ることを知る必要があります」

アルワフィは、サウジアラビアには、家庭内暴力、双極性障害など、さまざまな障害の種類に応じて、より多くのサポートグループが必要であると述べる。

「様々な障害や病いに取り組む、より多くのサポートグループが、多くの場所で求められています。家庭内暴力、双極性障害、一人親、悲哀、失業など、様々なサポートグループが必要とされています。そうしたサポートグループを熱心に支援してくれる人々もいます。ですから、是非やりましょう」彼は人々に大学、近隣、モスク、病院、治療センター、さらにはオンラインでセッションを主催するよう促している。

アルワフィは、他の人々に、彼等自身も必要性を最も理解しているテーマでのサポートグループの主催権限を与え、立ち上げを奨励することを計画しており、ジェッダではそうした他のグループをJSGの傘下に置くことを予定している。「サポートグループを起ち上げる意欲を持つ者を是非支援したい、そしてそうしたサポートグループを支えたいと思うメンバーを差し向けたい。そうすることが、彼ら自身にとっても最も助けになると思っている」と彼は述べる。

アルワフィは心理学のバックグラウンドを持たないが、この分野の文献や研究を読み、定期的に精神科のセラピストに相談している。

「私たちは家庭内暴力、双極性障害、一人親、悲哀、失業など、様々なサポートグループを必要としています」

アメル・アルワフィ

「それがサポートグループの良さです。国際的にも、サポートグループを主催するために心理学のバックグラウンドを持っている必要はありません。それでも、私は読書やセラピストとのセッション、自己研究を通して、知識を増やし、支援や議論のスキル向上に相応の努力を払っています」と彼は述べる。

「サポートグループを主催する上で最も重要なことは、他の人を適切にサポートする方法を知っている、他人をサポートするのが好きな人である必要があることです」

JSGではすべての年齢層を歓迎しているが、精神病、重度のうつ病、または進行中の心的外傷後ストレス障害を伴う恐れのある高レベルの精神的苦痛を抱える人々を受け入れることはできないという免責事項がある。「免責事項では、重症の場合は資格のある医療専門家に助けを求めることも勧めています」

1年半前にグループに加わったムニラは、奨学金を受けて海外での留学からサウジアラビア王国に戻った後、うつ病と孤独に苦しみ、精神科のセラピーを受けている。 しかし、彼女は担当セラピストからは求めていたサポートを受けることは出来なかった。

「奨学金による留学を終えてジェッダに戻ると、落ち込んでとても寂しい思いをしました。そこで精神科を受診して、セラピストに会ったのですが、彼女の診断には納得がいきませんでした。私は甘やかされており、祈るべきだと言うのですから」と、彼女はアラブニュースに語った。

「私は偶然JSGのことを知り、それ以来、ずっとここにいます。このグループは私にとって家族のようなものです。マスクなしで、気兼ねなく私自身の気持ちを表現できます。うつ病の治療の一環で、ここにいられることを、とても誇りに思っています」

グループに1年間参加しているスルタンは、グループが彼に物事に対するこれまでと異なる、新しい視点を得るのを助け、彼自身の自尊心を高めたと述べる。

「それまで暗い世界に籠っていた私を、光のある場所に導いてくれました。サポートグループは私自分を見つめなおし、自分を理解することから始め、自分以外の人の視点で物事を見ることも教えてくれました」

「私を理解し、私を愛する人もいるし、反対に私がどんなにいい人間でも、私を嫌う人間もいることを教えてくれました。そしてそれが当たり前で、それでいいのだと」

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