ドバイ:小声で囁くように、マーベルが「アベンジャーズ:エンドゲーム」後の低迷から抜け出そうとしている兆しがある。ヒット作よりも失敗作のほうが多い映画や番組が続いた後、最近の「デッドプール3」では、ここ数年の作品の質の低下をジョークにしただけでなく、コミック界の巨頭にまだ活気があることを示す一歩を踏み出した。そのため、Disney+のストリーミングサービスで配信される最新ミニシリーズ「アガサ・オール・アロング」には、大きなプレッシャーがかかっている。
この番組は、素晴らしい「ワンダヴィジョン」のスピンオフ作品で、キャスリン・ハーンが悪役アガサ・ハークネス役を再び演じている。 アメリカ片田舎に閉じ込められ、魔法の力を奪われたアガサは、ティーンエイジャーの少年(「ハートストッパー」のスター、ジョー・ロック)によってワンダ・マキシモフの呪縛から解放される。力を取り戻すには伝説の魔女の道を歩かなければならないと気づいたアガサは、自分を手助けしてくれる新しい魔女の集会の結成に乗り出す。
この番組の秘密兵器はハーンだ。役柄に難なく戻った彼女は、新しい魔女の集まりの家族の助けなしには力を取り戻せないことを不本意ながら認め、嫌味と生意気さ全開だ。おそらく『ワンダヴィジョン』の成功からインスピレーションを得たのか、クリエイター兼ショーランナーのジャック・シェイファーは、奇妙で第4の壁を破るようなバカバカしさに傾倒している。アガサがはまる真の犯罪探偵番組は、「デンマークのシリーズ『ワンダヴィジョン』がベース」だ。さらに、ロックを筆頭に、シシリアの魔女を演じるパティ・ルポーン、スターのデブラ・ジョー・ラップ、そしてオーブリー・プラザ(少なくとも最初の2話では戦士の魔女役で主役を奪っている)といった新キャラクターたちが、アガサの裏話を掘り下げるのに完璧な背景を提供している。
マーベルのテレビ番組は、少なくとも小画面では、MCU映画に典型的な壮大で世界を滅ぼすような派手さを避け、奇妙で素晴らしい世界について考え抜かれた複雑なストーリーを語る時に最高のものとなる傾向がある。「アガサ・オール・アロング」で、そしてより具体的には、ハーンがこのような素晴らしいアンサンブルキャストを率いることで、マーベルは再び成功の道に戻れるかもしれない。