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日本で”空気を読む”には

大阪で電車を待ちながら新聞を読む男性。(AFP)
大阪で電車を待ちながら新聞を読む男性。(AFP)
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29 Aug 2021 05:08:17 GMT9
29 Aug 2021 05:08:17 GMT9

ナダル・サモーリ

大阪: 日本は、ほとんどのコミュニケーションが言葉を介さずに行われる国だ。空気やモノの精神の中にメッセージが込められている様にすら感じられ、その場の状況を示すものとして認識される。

中東のいくつかの国と同様、日本はハイコンテクスト(文脈が多くの情報を持つ)社会であり、メッセージから意味や行動を推測する際には文脈に依存している。そのため言葉やコミュニケーションは間接的で柔らかく、含みを持ち、繊細なものになる。

もし誰かがお客さんをもてなしている時にぶしつけに時計をじっと見ていたとしたら、そのお客さんが ”空気を読む “ことを期待しているのだ。京都では一般的に、これがもう少し極端になる。例えば誰かに時計を褒められたら、それは「お引き取りください」という合図なのかもしれない。

ハイコンテクスト社会では、手がかりから空気を読んでもらえることを期待して、主に話し手から聞き手へと意図が伝えられる。“空気を読む”というのは、日本における間接コミュニケーションの基本なのだ。

つまり言葉を使わずにメッセージを伝えようとし、相手のエネルギーを感じ取って言葉を介さずその意図を読み解くということだ。

言葉以外の微妙な合図や表情を読み取れない人は、空気が読めないという意味で相手から”KY(空気読めない)”と見なされることもある。

相手への配慮のつもりでも、海外から来た多くの人にとって、日本の間接的なコミュニケーションはノイローゼになりそうなほど過剰に感じるかもしれない。同時にその外的な圧力は、彼らに常に気を遣うことを強要してしまうこともあり得る。

「基本的には、言葉で直接言うよりもほのめかすことが多いですね。個人的にはその方が都合が良いです」とビジネスマナー講師の三科葵氏は言う。

三科氏は、国内外の学生にコミュニケーションについて教えている。また、北海道にある筑豊流煎茶道で茶道を極め、プレゼンテーションのセンスを磨いてきた。

茶会での三科葵氏

三科氏は、日本的なコミュニケーションのあり方について、こう説明する。

「日本の間接的なコミュニケーションの多くは、平和的な一体感や適合性を意味する文化的な概念である、 “和 “を大事にすることから生まれました。日本独特のコミュニケーションは、海に囲まれた陸の孤島という地理的背景が大きく影響しています。世界的に見ても珍しい同質性、均一性を重んじる文化です。農業国として和を重んじ、地域社会が互いに助け合う意識を持っているため、日本社会で知られる「集団心理」が形成されてきたのです」

世界にはマダガスカルやオーストラリアのように、孤立していてもそこまで独特な文化的特徴を持たない国もある。しかし、17世紀中頃から19世紀中頃まで200年以上続いた鎖国という歴史的な政策が、外国からの介入を長年に渡って防ぎ、極端な集団主義と、馴染みのないものを受け入れることができない体質を形成する一因となったのだ。

「一つお伝えしておきます。日本人は恥ずかしがり屋だと言われていますので、あまり相手の目を凝視して話さないほうがいいでしょう。とはいえ、目が合っていなくても無意識のうちにあなたを観察しているはずです。服装、髪型、表情、態度、雰囲気などです。あなたが目をそらしているときに、相手はあなたの目を見ているかもしれません」と三科氏語り、さらにこう付け加えた。

「特に京都は日本の中でも非常に独特な文化を持っているので、京都人は外部の人を受け入れにくいのです。京都には、本当のことを言わずに間接的にコミュニケーションをとるという傾向が大きく根付いています」

日本において間接的なコミュニケーションが浸透しているのは、人間関係だけではありません。意図したかどうかは別にして、間接的な文化を反映したたくさんのものが日本全国、特に京都市内に散見されます。例えば伝統的な町家の中には、入り口に向かって斜めの歩行者用通路が設けられているものがありますが、これは迂回路であり、京都におけるコミュニケーションの作法を反映しています。

町家に通じる迂回路(写真は入口から撮影)

また町家の窓には、縦格子や格子窓に加えて藁の仕切りが多用されています。開放的な透明ガラスではなくほぼ不透明で、中を見られずに外を覗くことができるように工夫されています。

京都の閉鎖的な町家

このように、建築は文化を映し出す鏡のようなものであり、人々内面を暗示すものでもあります。

「日本の茶室の構造の特徴として、客のために天井の高さを一段高くしているというものがあります。これは尊敬の念を表す暗示です」と三科氏は言う。

間接的な表現は、日本の主な武道にも見られる。例えば、合気道や柔道は、力で相手に立ち向かうのではなく、相手の力をそらす間接的な戦い方をする武道だ。

「間接的なコミュニケーションは、日本の精神の柱である “道”(茶道、合気道、柔道、剣道、華道、書道など)にも共通していると思います」と三科氏は語る。

アラブ諸国の多くもハイコンテクスト社会であり、メッセージを伝えるのに非言語的なコミュニケーションに頼ることがある。建築においても、ダマスカス、チュニジア、カイロなどの地域では閉鎖的な家が多く、ムシャラビエが建築様式として採用されているなど、その事実を反映している。

エジプト・オールドカイロのムシャラビエ。日本の建築のような間接性が見て取れる

「中東の文化は複雑で多様です。私の知る限り、様々な宗教、民族、言語が存在しています」と三科氏は言う。また、現在では様々な話し方をする人がおり、多くのことが物理的な世界を超えて仮想空間へと移行し、それぞれの社会規範を破る人々も数多く存在するが、一つ確かなのは、テクノロジーの進歩により直接的な発話がより例外的なものになってきていることだと強調した。

三科氏は、ビジネスマナーやコミュニケーションを指導してきた経験から、相手の意見がバラバラな時こそ、相手をよく見て観察する重要性を学んだ。

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