ベイルート:司法筋によると、去年起きたベイルート港爆発大惨事の捜査は、主任捜査官であるタレク・ビタール判事に対する法的請求のため1カ月以上停止されていたが、捜査の続行が許されることとなった。
ベイルートの裁判所は、タレク・ビタール判事の高官への尋問を阻止するための、最後の訴訟を却下した。
リーガル・アジェンダという弁護団体の責任者であるニザール・サギエ氏がロイター通信に語ったところによると、「裁判所が捜査の停止につながった決定を覆したので、ビタール判事は確実に任務を再開できるだろう」
サギエ氏はまた、更に法的な苦情申立てがあれば、捜査の再開は一時的なものになるだろうと語った。
215人以上の死者と何千人もの負傷者を出し、ベイルートに大規模な破壊をもたらした2020年8月4日の爆発事故の捜査は、強力な派閥からの反発を受けてほとんど進展していない。ビタール判事に対しては中傷キャンペーンが行われ、複数の訴訟が起こされた。
イランが支援するイスラム教シーア派武装組織ヒズボラのリーダーは、繰り返しビタール判事を捜査から排除することを要求し、その争いは政府にまで波及している。ナジーブ・ミカティ首相の内閣は10月12日以来閣議が開けない状態にある。
平時における最悪の惨事が起きてから1年以上が経っても、未だに責任を取る政府高官がおらず、レバノンが政治的にも経済的にも崩壊に陥っている事態に、多くのレバノン人が怒っている。
ビタール判事は7月以来、当時の担当大臣や議員への尋問を要求したが、ほぼ全員が責任追及をかわしている。
ビタール判事は、この捜査を担当する2人目の裁判官である。前任者のファディ・サワン判事は公平性に関する法的な苦情申立てを受けた後、2月に解任されている。
ロイター