東京:AIプログラムのChatGPTはこれまで、試験に合格し、ニュース記事を執筆し、コードを作成した。であれば、『ONE PIECE』の作者である尾田栄一郎氏が着想を得るためにChatGPTに向かったとしても、おそらく驚くことではない。
世界で最も有名なマンガの1つと称されることも多い記録破りのマンガの背後にいる人物は先月、スランプに陥っているのを自覚したようだ。
「こんにちは、作者です。来週のONE PIECEの展開を思いつかないので、お話を考えてもらえますか?めちゃくちゃ面白いやつをお願いします」。スタッフがツイッターアカウントに投稿した動画によれば、同氏はそのようにChatGPTに依頼した。
瞬時にChatGPTは、ヒーローが新たな仲間と出会い、「影の王」などの新たな敵と戦う物語を紡ぎ出した。
ChatGPTは、提案されたプロットでは、神秘的な種族や新たな仲間が登場するだけでなく、既存のあるキャラクターに別の光を当てその知性と行動を読者が楽しむことになると述べ、作者である尾田氏にストーリーを売り込もうとした。
だが、尾田氏がすぐに返した評価は、抑制を利かせたものではなかった。「すみません。つまらない」と入力し、もっとおもしろいアイデアを要求した。
2度目にChatGPTは、異星人が『ONE PIECE』のキャラクターや「海賊王」ルフィの一行に加わって魔女と戦い、邪悪な宇宙船に破壊された異星人の星を復興するというストーリーを作り出した。今度は報われた。
「ありがとう。そのとおりに描きます」と、尾田氏は次回の作品はこの新たなストーリーを元にすると表明した。
『ONE PIECE』は、麦わら帽子をかぶったルフィとその仲間が、タイトルになっているすべての海賊の切望の的である宝物を探し求める旅を描いている。
最終シリーズは、日本の週刊漫画雑誌『少年ジャンプ』で7月25日に開始された。
1997年に第1巻が発売されて以来、シリーズ累計100巻を超え、販売記録を更新している。
尾田氏は、単一作者による同一シリーズのコミック発行部数でギネス世界記録に認定されている。
昨年発売されたシリーズ第100巻はフランスで25万部販売された。この部数は、権威ある文学賞であるゴンクール賞の受賞作品に匹敵する。
『ONE PIECE』の世界には、古代エジプト、ベネチア、中世の日本など、普遍的な要素を与える文化や地理が描かれている。
魅力的なキャラクターと、猛スピードの工業化、人種差別、奴隷制、地政学的策略といった現代的なテーマが相まって、シリーズの魅力を高めている。
『ONE PIECE』の世界をドラマ化したネットフリックス・シリーズのリリースが予定されているが、制作者たちはこのグローバルなストリーミングプラットフォームの加入者2億人以上に物語を届け、新たな領域を征服する一助になることを期待している。
AFP