
リヤド:実験的なブレンドティーで有名なサウジのティーバリスタが、映画スターになった。
東部州カティーフ県のジャロウディヤ村の農村で成長したジャファール・アル・ジャロウディ氏は、サウジ映画祭で飲み物を提供していた時に才能を見出され、短編映画の被写体になった。
ジャロウディ氏は2003年、イラク旅行中に初めて紅茶作りの才能に目覚め、地元産のハーブを配合して、伝統的なブラックレモンティー、イラク風レッドティー、シナモンティーなど人気のブレンドティーを作り始めた。ちなみに、サウジコーヒーにも精通している。
祭典や結婚式などのイベントで何年も間、飲食物を提供してきたアル・ジャロウディ氏は、友人のサマル・アルバヤット氏から、2016年の第3回映画祭での飲み物の提供を打診された。
「ジャファールは誰に対しても、あふれんばかりの愛と喜びの気持ちでもてなす、とびきり素敵な男なのです。最高でしょう。その上、最高の紅茶とコーヒーを淹れてくれるんだから」と、アルバヤット氏。
ジャファールが愛を込めて、一杯の紅茶を淹れていることがわかるのです。その一杯一杯に、心を込めているのです。
サマル・アルバヤット
「ジャファールが愛を込めて、一杯の紅茶を淹れていることがわかるのです。ルミ(ブラックレモン)ティーを淹れるときはいつも、慎重に語りかけているんだと言っていました。その一杯一杯に、心を込めているのです」
アル・ジャロウディ氏は、「私が映画祭に関わるようになったきっかけでした。ナツメヤシの木から収穫した選りすぐりのデーツを添えたサウジコーヒーなど、厳選した飲食物を提供するようにしました」と語った。
第8回の映画祭で俳優やゲストに飲食物を提供していた時、サウジアラビアの脚本家兼小説家、サード・アル・ドッサーリ氏から紅茶を淹れるスキルを褒められることがあった。
「サード氏は私に、『第9回のサウジ映画祭が開催されるまでに、君のことを映画にするから』と言ったのです」とアル・ジャロウディ氏。
そして翌年、『ザ・ナイト・メーカー』は映画祭の最終日、ブライラ・アル・アジジア・リゾートで初めて上映された。ジャファール・アル・ジャロウディ氏の物語を記録した、ムハンマド・アル・ファラージ監督の映画『ザ・ナイト・メーカー』には、息子のハリル君も登場する。
アル・ファラージ監督は次のように語った。「ジャファールが映画祭にもたらすエネルギーと雰囲気が大好きです。ジャファールがしていることはとてもクリエイティブで、まるで砂糖と茶葉と水と火を操る錬金術師みたいなのです。彼のことを短編映画にできたら、すばらしいだろうなあと感じたのです」
「映画も物事をひとつにまとめて編集し、最終的な作品に仕上げるのですが、そこはジャファールがしていることと似ていますね」
アル・ジャロウディ氏は感謝のしるしとして、映画祭の団体からゴールデン・パーム賞が贈られた。
アル・ジャロウディ氏は「賞をいただいた時、心臓が止まりました。その時々の美しい瞬間を思い出すことができるように、毎年、映画祭からいただいたバッジやカードを残しています。2016年にいただいた招待状とバッジもあります」
「映画が初めて上映される時、涙が込み上げてきました。妻、娘、息子がいなかったら、やり遂げられなかったと思います」
「紅茶を淹れるときに入る頭上の空間は、この世のものとは思えないところなのです。ケトルで紅茶を用意する時、大きな喜びを感じています。2003年にイラクを訪れてから、急いでささっと紅茶を淹れたことはありません。いつも喜びに満ちた誠実な心で淹れてきました」
「紅茶を淹れるとき、これまでの知識、そして自らの文化で慣れ親しんだものにこだわっています。中でも絶対に欠かせないことがひとつあって、それは飾らないということです。自分が愛するもの、そして私に与えられた紅茶を淹れる才能を使うということです。具体的には、カティーフ文化のハーブ入りの飲み物を使っています」と、アル・ジャロウディ氏は付け加えた。