政府は27日、食料安全保障を強化するため、農政の基本方針を定めた食料・農業・農村基本法の改正案を中心に5法案を来年の通常国会に提出する方針を明らかにした。「農政の憲法」と呼ばれる基本法に加え、有事の際の食料確保、農地の確保と有効利用、原材料調達の安定化、スマート農業の振興に向けた関連法を整備。食料の輸入依存からの脱却や農業の生産基盤強化を進める。
基本法の本格的な改正は、1999年の制定以来、初めてとなる。
岸田文雄首相は、首相官邸で食料安定供給・農林水産業基盤強化本部の会合を開催。「国内の急激な人口減少と担い手不足といった社会課題を正面から捉え、これらの克服を地域の成長へとつなげていくべく農政を抜本的に見直す」と述べた。
具体的な施策については、新たに策定した工程表で進捗(しんちょく)を管理。2025年春をめどに5カ年の次期食料・農業・農村基本計画を策定。食料自給率以外の指標も活用し、平時から食料安保の状況を評価する新たな仕組みを設ける。主食用米の需要減少を踏まえ、畑地化の推進を含む水田政策の在り方も検討する。
政府は昨年12月、肥料・飼料の国産化や、麦・大豆の輸入依存からの脱却を図ることを柱に、食料安全保障強化政策大綱を策定した。27日の会合では、基本法改正議論の進展を踏まえて大綱を改訂するとともに工程表を決定。基本法改正については、人口減少下でも生産水準を維持・発展させるなどの方向性をまとめた。
時事通信