
フランク・ケイン記者
(ドバイ発)中東において専門職や技能職に就いている女性の割合は今後10年で倍増するが、それでも中東の女性たちがジェンダー間格差を埋めようとすれば、世界の他地域の女性より多くの困難に直面している。
これが国際的なコンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーが1年かけて行った調査の結論である。同調査は、サウジアラビアなど中東地域の中から特に選ばれた諸国の経済への女性の参加を調べたものだ。
マッキンゼーの上級パートナーで共同執筆者の一人であるリマ・アッシ氏は、「仕事の数は、2030年までに2倍以上になる可能性が高いことがデータから分かる。中東において女性は生産性の高い分野に今なお十分に進出できておらず、またそうした分野での機会を活用する上で必要なテクノロジー関連の高度な技能を十分に備えてもいない」と述べた。
アッシ氏は、デジタル化、オンライン上のプラットフォーム、起業が進展することによって女性の雇用が急増するようになると言葉を足した。
アッシ氏は、「女性が社会及び経済において果たす役割を拡大すればそれは、中東における改革を前進させる力となる。専門職や技能職における女性の参加を増大させれば、地域の経済成長を加速でき、この地域の経済成長は第四次産業革命の著しい影響を受けるがゆえになおさら女性の参加が肝要となる」と述べた。
この調査にはサウジアラビア、アラブ首長国連邦、エジプトの女性についての調査が含まれている。
この調査によると「女性の、識字率の水準及び初等教育や高等教育への在籍率の水準は、男性のそれと同程度であり、学校では男性より女性の成績が優れている傾向がある。しかし女性は高等教育において芸術分野や教育分野を選びがちであり、STEM関連(科学、テクノロジー、工学、数学)分野を選ぶ者の数は十分ではない」という。
同調査によって、デジタル・インクルージョン(デジタル技術が社会に浸透し、活用されるようになること)が、中東地域における専門職や技能職への女性の参加を急増させるうえで「決定的な触媒」となるとの事実も明らかになった。テクノロジーによって職場のあり方が変わり始めており、労働する女性は、より多くの雇用機会が得られ、より柔軟に働けるようになり始めていることが背景にある。デジタル・インクルージョンを進めれば、未来の仕事に女性が積極的に参加するのを促進できるであろう。
しかし同調査は、著しい不平等が続いていることを指摘しており、とりわけ法的保護に関してや、銀行サービスを利用できていない女性の数が非常に多いことに表れているように金融包摂に関して、非常に大きな不平等があることを指摘している。
アッシ氏は、「新たな法的枠組みを導入することが、中東地域に広く見られるジェンダーに基づく不平等を終わらせることを可能にする重要な措置の一つである」と述べた。