
アル・ムッカラー: 30日にイエメン・リアルが1ドル=1,630リアルの記録的安値となり、政府管理地域における史上最安値の1ドル=1,700リアルに迫った。
地元の通貨取引業者によると、イエメンの暫定首都アデンなどの政府管理地域では、イエメン・リアルは1ドル=1,632リアルで取り引きされており、数か月前の1ドル=1,500リアルより下落した。
国際的に認められる大統領指導評議会が2022年4月に設立されて以来、1ドル=1,200リアル前後で推移した末に、昨年11月に政府管理地域でイエメン・リアルが1ドル=1,540リアルという歴史的安値となった。
2015年の初めに1ドル=250リアルだったイエメン・リアルは、2021年12月に1ドル=1,700リアルという史上最安値まで下落した。
今週、アデンのイエメン政府はリアルの最近の下落に対処する委員会を設置した。
以前の通貨下落時には、アデンを拠点とするイエメンの中央銀行は、無免許の両替業者を閉鎖し、地元貿易業者にハードカレンシーを売る公売を開催し、両替会社間の非公式の送金システムの置き換えを行い、認定両替業者と銀行に財務諸表の中央銀行への提出を求めた。
どの措置によっても、イエメン・リアルの下落は止められなかった。
数十億ドルにおよぶサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)からの融資パッケージとアデンの中央銀行への預金だけが、イエメン・リアルの一時的回復を可能にしたが、その後は下落傾向が続いた。
イエメンの政府は長い間、闇市場の通貨商人による通貨投機がリアルの急落の原因だとしてきた。また、フーシ派が昨年10月に石油施設を攻撃し、国の主要な収入源である石油輸出が完全に止まったことが、通貨下落のもうひとつの原因だとした。
リアルの下落により、米、小麦、ガソリン、輸送といった必需品のコストが上昇し、アデン、アル・ムッカラーなどの政府が管理するイエメンの各都市において暴力的なデモが発生した。
イエメンの専門家は、中央銀行のハードカレンシーの準備高不足と、イエメン政府による闇市場規制の失敗を考慮すれば、最近のイエメン・リアルの急落は驚くにはあたらないと考えている。
研究・経済メディアセンター(Studies and Economic Media Center)のムスタファ・ナスル所長は30日にアラブニュースに対し、石油輸出、税金、関税徴収による政府の収入の急減や、政府による闇市場のコントロール不能といった、現在の状況が続けば、イエメン・リアルは今後数か月にわたって下落し続けるだろうと述べた。
中央銀行が新たな紙幣の印刷を続けていたなら、リアルはもっと早くに史上最安値の1ドル=1700リアルに達しただろうと、ナスル氏は付け加えた。
「有力で裕福な両替商による投機が行われる状況の中、これらの困難があるため、リアルの価値が1ドル=1,600リアル以上にまで下落したことは驚くにはあたらない」とナスル氏は述べた。