
トヨタグループの豊田自動織機の株主総会が11日、愛知県高浜市で開かれ、伊藤浩一社長はエンジンの認証試験を巡る不正について、「多くの関係者の皆さまに多大なご迷惑をおかけし、誠に申し訳ない」と頭を下げて謝罪した。
豊田章男トヨタ自動車会長は今年1月、グループの日野自動車、ダイハツ工業、豊田織機で相次いだ不正を受け、立て直しを主導する意向を表明。グループ主要17社の株主総会に株主の立場で出席する意向を示していたが、17社で最初の開催となった豊田織機の総会には出席しなかった。
トヨタは「株主総会は株主との年に1度の対話の場で、豊田氏が出ることで変化が起きることは得策ではないと判断した」(広報)と説明した。豊田織機以外の株主総会についても、株主として出席することはないという。
豊田織機の総会は、伊藤社長の再任を含む取締役7人の選任などを可決し、1時間21分で終了した。株主からは「形だけの対策で同じことが起きないか心配だ」との指摘が出た。再発防止の取り組みで、認証不正が今月に判明したトヨタから支援を受けることを懸念する声も上がった。
総会に出席した名古屋市の60代の男性は「不正については今後改善していくと言っているので、それを信じるしかない」と話した。OBという愛知県東浦町の80代の男性は「上層部も現場も(不正に)気を付けるのは当たり前。通り一遍の説明だった」と振り返った。
豊田織機は昨年3月、フォークリフト用エンジンの排ガス性能試験での不正行為を公表。今年1月には自動車用エンジンでも不正が判明した。
時事通信