
フィリップ証券(東京、永堀真社長)は12日、映画製作者への出資の見返りとして得られる権利をデジタル証券(セキュリティートークン、ST)化し、24日から販売すると発表した。STの購入者は、劇場配給や放映権などの収益から分配金が期待できる上、特別上映情報の入手や限定イベントへの招待などの特典がある。
映画製作資金の調達と収益分配の仕組みに、STを採用するのは国内初。エンターテインメント業界の活性化に向けた新たな手法として広がる可能性がある。
この仕組みを活用して製作される映画の第一号は、2025年公開予定の「宝島」(大友啓史監督)。真藤順丈氏の直木賞作品が原作で、第2次世界大戦後の沖縄を生きた人々を妻夫木聡さん、広瀬すずさん、窪田正孝さん、永山瑛太さんらが演じる。
今回の映画STは一口10万円で3680口発行される。総額3億6800万円の出資金は映画製作ファンドを通じて映画作りに充てられる。暗号資産(仮想通貨)やNFT(非代替性トークン)などにも応用されるブロックチェーン(分散型台帳)技術を用いることで、小口化できた。
フィリップ証券は、STの発行・流通基盤事業を手掛ける米系セキュリタイズ・ジャパン(東京)と協業し、今回の仕組みを構築した。STの管理業務はフィンテックグローバルの子会社が担う。永堀社長は「海外の投資マネーを日本に呼び込む仕組みとしてもST発行は有効だ。映画に限らず、多様なジャンルへのST普及を目指し、取り組みたい」と話している。
時事通信