鹿島:日本製鉄の看板にはこう書かれている: 「鉄を通じて世界へ」日本のトップ鉄鋼メーカーがなぜ150億ドルを投じてU.S.スチールを買収しようとしているのかがよくわかる。
「人口が減少するなか、日本の需要が伸びることは期待できない。我々は成長につながる生産に投資する必要がある」と、日本製鉄のの鈴木正人氏は金曜日、東京の北、茨城県にある同社の工場を記者団に見せながら語った。
日本製鉄はインド、東南アジア、アメリカに目を向けていると鈴木氏は語った。日本製鉄の生産量の約70%は輸出されている。
ドナルド・トランプ次期大統領、ジョー・バイデン大統領、アメリカの鉄鋼労働者たちはこの取引に反対しているが、東京に本社を置く同社は楽観的な姿勢を崩していない。
見学中、摂氏1,000度(華氏1,800度)以上の高温でオレンジ色に輝く鋼板が、洞窟のような工場内を転がり、超薄鋼の巨大なスプールになった。
日本製鉄の関係者は、買収計画がU.S.スチールに提供すると語った微細技術の詳細については明らかにしなかった。
2023年に初めて発表されたこの買収案では、U.S.スチールは社名とペンシルベニア州ピッツバーグにある本社を維持し、同社の子会社となる。
日本製鉄はすでに米国とメキシコ、中国、東南アジアで製造事業を行っている。トヨタ自動車を含む世界のトップ自動車メーカーに製品を供給し、鉄道、パイプ、電化製品、高層ビル用の鋼鉄を製造している。
中国の鉄鋼メーカーが市場を支配するようになり、アメリカの鉄鋼産業は衰退した。日本は、数十年来の日米安全保障・政治同盟を活用して買収を成立させたいと考えているが、先行きは不透明だ。
9月、U.S.スチールと全米鉄鋼労組が共同で選んだ仲裁委員会は、提案された買収を進めることができると決定した。
しかし、120万人の組合員を擁する全米鉄鋼労組は、雇用損失や契約条件への懸念を理由に反対している。
同労組は、日本製鉄の生産拠点移転計画や、国家安全保障と国内サプライチェーンに関する懸念に疑問を呈している。
コメントを求められた日本製鉄は、組合員に宛てた最近の書簡を紹介した。
「組合として、私たちが最も懸念しているのは、私たちの仕事と、私たちが生活し働く地域社会の将来である。私たちは過去に雇用喪失を経験しており、今後もそれを回避するために全力を尽くさなければならない」と、マイク・ミルサップ交渉委員長とデビッド・マッコール国際会長が連名で署名した書簡は述べている。
「日本は政治的同盟国である一方、経済的競争相手でもあり、われわれの犠牲の上に自国の鉄鋼業を振興する意思があることを何度も証明してきた」と組合は述べた。
日本製鉄は、U.S.スチールの「遺産を守り」、雇用、年金、福利厚生を保護することを約束し、解雇や工場閉鎖を行わないことを誓約している。
同社によれば、この取引は最初の2年間で10億ドル近い経済効果を地域にもたらし、最大5,000人の建設雇用を創出し、約4,000万ドルの州税と地方税を生み出すと予想されている。
ボストン大学のウィリアム・W・グライムズ教授(国際関係・政治学)は、日本製鉄が米鉄鋼工場の操業を維持することを約束することは、米国を拠点とする特殊鋼の生産を維持することにつながると述べた。日本製鉄はまた、工場の競争力を高めるための投資も約束している。
日本製鉄がアメリカから奪えるような軍事的に重要な技術はなく、アメリカは日本を含む同盟国で生産された鉄鋼に依存している、とグライムス氏は言う。
「日本企業が教訓を生かすとすれば、それはプロセスの早い段階で労働組合や地元の政治家を巻き込むことである」
AP