
ベイルート:国が財政危機に取り組むなか、中銀関係筋によれば、レバノン中央銀行は金曜日に、送金会社が適用する際の為替レートを公定為替レートよりも58%安い1ドル3625レバノン・ポンドに設定した。
新たなレートは、1997年以来据え置かれている固定為替レートから離れようとする中央銀行の大きな動きの一環と見られると銀行関係者たちは言う。公定為替レートは引き続き1507.5ポンドのままではあるが、これは実質的なポンドの切り下げを意味する。
新為替レートは電信送金を通して送られるものに適用される。電信送金は国外にいるレバノン人の多くが国内の家族に送金する際に使っている。
レバノン・ポンドは長らく予兆のあった国の経済危機が顕在化した10月以来、並行市場で落ち込んでおり、1975年から1990年にかけての内戦以降最大規模の危機とされる金融危機をもたらしている。
当局は燃料、小麦、医薬品などの生活必需品に対しては引き続き公定固定レートを適用することで輸入依存経済におけるインフレの悪循環を緩やかにしようと努めている。
「相場は毎日変化する可能性があり、前日に設定される」と中央銀行関係者は述べ、レートは為替交換所におけるドルの取引価格を反映したものだと付け加えた。「一日の間に大きな変動があれば同日に相場が設定し直されることもある」
ある銀行幹部は、事実上リアド・サラメ中銀総裁は公表することなく通貨を切り下げているも同然だと述べた。
ドルが供給不足にあるなかで中銀は今月、送金サービスは現金を「市場レート」にて自国通貨で供給しなければならないとしていた。今週中銀は、レバノンにドル口座を持つ預金者は、引き出し限度額以内で「市場レート」にて、現金をポンドで支払われるものとした。
そのような引出しに適用されるレートは、中銀が電信送金会社用に設定したレートに近いものになるだろうと銀行関係者たちは言う。銀行関係者、外国為替ディーラー、中央銀行が次の月曜日に会議で決定することになる。
レバノン議会のナビハ・ベリ議長は木曜日に政府に対し、「手遅れになる」前にポンドの「劇的な崩壊」を食い止めるべく法的権限を行使するよう促した。
ガジ・ワズニ財務相は金曜日に、下落は経済的、金融的、通貨的な理由に因るものではなく、「市場の強い投機や操作」に起因するとアルジョムフリア紙に述べた。
「これが国民の不安や懸念を増大させ、それによりドルの需要増加を招いているのだ」
外国為替ディーラーたちは、「為替レートの下落が続くことへの警告の表明として」月曜までのストライキに入った。木曜夜に連合組合が発表した。
ロイター通信