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米国のレバノン政策は、イスラエル視点で導かれるべきではない

レバノン、ラスバールベックの街のレバノン軍兵。(ロイター)
レバノン、ラスバールベックの街のレバノン軍兵。(ロイター)

ワシントンで発言力のあるイスラエルは、レバノンに対する米国の政策に絶えず影響を与えようとしている。主な問題は、イスラエルが北側の隣国をヒズボラの観点でのみ捉えていることだ。だが、レバノンにはそれ以上の重要性がある。この誤った見方は同国内部における米国の影響力を損ない、さらに不安定な状況を呼ぶだろう。

残念なことに、イスラエルはレバノンに対するどのような支援も阻止しようとしている。同国がヒズボラの温床であり、レバノン軍(LAF)が同武装集団の隠れ蓑になっているという考えで目先の事柄に囚われているためだ。しかし米国のレバノン専門家はこの見方が誤りであり、実のところLAFは、ヒズボラに対する唯一の拮抗勢力であると見ている。同軍がわずかでも衰えれば、シーア派のヒズボラ武装集団、スンニ派民兵、イランそしてロシアへ、つけ込む隙を与えることになるのだ。

イスラエル支持派グループは、LAFとヒズボラ間の対立について、米国からレバノンへのどのような支援も条件付きにしようと試みる。だが、元米国大使のジェフリー・フェルトマン氏のようなレバノン専門家は、そのような前提条件が内戦のもととなることを知っている。彼はこの点について、中東、北アフリカ、国際テロリズムを議論した先月の下院小委員会での供述中に明らかにした。

イスラエル支持派のシンクタンクは、LAFがヒズボラと「共謀している」という考え方を繰り返し宣伝している。レバノンで生まれ育った学者のトニー・バドラン氏とジョナサン・シャンツァー氏はイスラエル支持派の経路であるMozaicで記事を発表し、LAFがヒズボラと「手を取り合って」いると述べた。イスラエルはこの話に基づき、国務省からLAFへの10,500万米ドルの支援パッケージを妨害しようとした。

米国内のイスラエル支持者は6月以来、レバノンへの支援を止めるようにと議会および国家安全保障会議へ働きかけている。この支持者グループには、ドナルド・トランプ大統領の中核支持者である福音派キリスト教徒が含まれる。テッド・クルーズ上院議員は、支援が届けられる前に軍によるヒズボラの武装解除を求める法案を、夏の間に提出した。10月にレバノンで抗議運動が噴出し、活動家らと軍の隊員間でいくつかの散発的な衝突が発生した時、クルーズ議員は口上を再度売り込む好機を見つけた。

だが、国務省と国防省はLAFの重要性を熟知している。軍事支援が凍結されたことをホワイトハウスが発表してから2週間足らずで、近東担当国務次官補のデイビット・シェンカー氏は、LAFへの支援を保留するようにとのイスラエルの要請は拒否された、とエルサレムのリポーターらに伝えた。「LAFへの財政支援を、我々は良い投資であると捉えています」彼は語った。

シェンカー氏の発表は、フェルトマン氏の見方と合致するものだった。後者は供述内で、レバノンとその武装集団への対応において、米国は長期的視野を持つべきである、と述べている。この見方は、武装集団と取引関係を結び条件付きの対応をするように米国へ迫る、イスラエルの視点と相反する。テル・アビブもまた、レバノンの困難な現況と外部からの支援を必要とするLAFのニーズを、ヒズボラに立ち向かうよう武装勢力に圧力をかけるための好機と見ている。

フェルトマン氏と同じ聴問会には、イスラエル支持派のワシントン近東政策研究所(Washington Institute for Near East Policy)の客員研究員、ハニン・ガッダー氏の姿があった。彼女は発言の中で、LAFがシーア派の街や地域から「立ち退いた」と述べた。彼女は、シーア派抗議運動者らがヒズボラに対し反対意見を述べられるように、LAFはそれらの地域に駐屯すべきであると付け足した。だが、状況は細心の注意を要する。そして現時点の張り詰めた緊張下では、そのような論争は大惨事を招きかねない。なお、彼女は諜報部の人権侵害を糾弾し、彼らからあらゆる支援を奪うように推奨した。それでもなお、そのような政策は武装勢力が一つの組織として円滑に機能するのを許さないだろう。そして最終的にヒズボラの利益となる、溝を生み出し得るのだ。

米国国務省、議会、国防省の全てが、地方政治に経験豊かな専門家を抱えている。そして彼らは、LAFがレバノンの唯一の望みであると悟っている。同軍は、抗議者たちを保護しているのだ。40日以上のデモ運動の中で、殺された抗議者はたった一人だ。イラクやイランのような国々では、何百人もの平和的な抗議者たちが軍や治安部隊によって標的とされ、殺されている。

イスラエル支持派のシンクタンクは、LAFがヒズボラと「共謀している」という考え方を繰り返し宣伝している。

デイニア・コレイラット・ハティーブ博士

それらの数字は、平和的抗議運動を行う市民権をレバノン軍が尊重していることを示す。軍はまた、力によってデモを取り除こうとする好戦的な派閥からも市民を守っている。

だが、米国の政策を左右するのはトランプ氏の気まぐれだ。国務長官のマイク・ポンペオ氏は11月22日、独立記念日を祝うメッセージをレバノンに送った。だが、支援の再開についての説明は一切されなかった。この取引的な外交政策は、国内イスラエル支持派利益団体の狭い視野によって深く感化されたものだ。それは、米国がレバノンとなんらかの有意な同盟を築くことを許さないだろう。

また、それはワシントンがレバノンの最重要機関と資金を構築するのを阻むだろう。そして国民の意思を正当に代表する唯一の機関とは、同国の軍隊なのだ。

デイニア・コレイラット・ハティーブ博士は、ロビー活動に重点をおく米国アラブ関係の専門家。彼女はエクセター大学の政治学博士号を持ち、ベイルート・アメリカン大学のイサムフェアズ公共政策および国際問題研究所に所属する学者である。

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