
東京:日銀の高田創審議委員は、現在の低金利を維持することは過剰なリスクテイクを引き起こし、インフレを過度に押し上げる可能性があるため、日銀はもっと金利を引き上げなければならないと述べ、借入コストのさらなる引き上げへの期待を強めた。
しかし高田氏は、中央銀行が政策金利をいつ、どこまで引き上げられるかについての手がかりはほとんど示さず、将来の引き上げのタイミングや程度についてあらかじめ考えていることはないと述べた。
長期的なインフレ期待は着実に上昇しており、企業は人件費上昇を転嫁することに積極的になっている、と高田氏は水曜日に述べ、追加利上げの条件が整いつつあることを示唆した。
「インフレ率は日銀の目標である2%に近づいており、企業の積極的な行動はすでに観察されている」と高田氏は講演で述べ、日銀はインフレ率の上昇リスクに留意しなければならないと付け加えた。
「1月の利上げ後も、金融政策のギアを徐々にシフトさせ続けることが重要だ」と同氏は述べた。低金利が長期間続くという期待を抱かせると、金融活動が過熱する恐れがあるからだ。
高田氏はまた、金融市場が再び不安定になるとの懸念が後退したことで、日銀は利上げをより柔軟に行えるようになったと述べた。
この発言は、最近の日本国債利回りの着実な上昇を受けたもので、賃金上昇が持続するとの見通しから、日銀が当初考えられていたよりも積極的な利上げに踏み切る可能性を市場が織り込んでいるためだ。
利回りの上昇について質問された高田氏は、ブリーフィングで「景気改善の自然な反映であり、インフレ調整後の実質借入コストは依然として低い」と述べた。
高田氏はまた、日本の中立金利(成長を冷やすことも過熱することもない金利水準)を見積もるのは難しいと述べた。
中央銀行が一定の中立金利水準を発表することは、「政策の柔軟性という点で問題がある」と同氏は述べた。なぜなら、そうすることで、市場は金利を一定の水準まで引き上げることをあらかじめ約束していると解釈する可能性があるからだ。
将来の利上げの時期や水準について「あらかじめ決めているわけではない」と高田氏は述べ、企業活動や経済・市場動向の強さに基づいて決定されると付け加えた。
15年ぶりの高水準となる1.435%を記録した10年物国債利回りは、水曜日には前日比0.5ベーシスポイント低下の1.425%となった。
NLI総研のエコノミスト、上野剛氏は「今回の発言はややタカ派的で、日本銀行が利上げに踏み切る用意があることを強調している」と述べた。「しかし、今後の利上げペースや最終的な利上げ率については、あまり示唆がなかった」と述べた。
日銀は1月に短期金利を0.25%から0.5%に引き上げたが、これは日本が2%のインフレ目標を持続的に達成しつつあるとの確信を反映したものだ。
植田和男総裁は、賃金が上昇を続け消費を下支えし、それによって企業が賃上げを続けることができれば、利上げを続ける用意があることを示唆した。
しかし植田総裁は、日銀がどこまで踏み込めるかについては口を閉ざしたままだ。タカ派政策委員の田村直毅氏は、9人の日銀理事の中で唯一、日銀は少なくとも1%まで利上げすべきだと明言している。
政策担当者は現在、春の賃金交渉の結果を待っている。最近の日銀の数々のシグナルにより、市場は7月に0.75%への利上げが行われる可能性が約80%と見ている。民間調査では、ほとんどのエコノミストが次の利上げは今年後半になると予想している。
日銀が1%を超えて利上げを行うことはないだろうという見方が市場で見直され、円相場と日本債券の利回りは今週上昇している。これは、日本の名目中立金利を1%から2.5%の範囲とするスタッフ予想の下限である。
ロイター