
東京:ドナルド・トランプ米大統領は、米国パワーへの過信に基づいて、主に関税を中心とした経済プログラムを策定していると、東京大学の教授で地経学研究所所長の鈴木一人氏は指摘した。
日本外国特派員協会で講演した鈴木教授は、米国の製造業の力は非常に限られており、米国大統領の選択肢を制限する可能性があると述べた。
「トランプ大統領が求める米国への投資や製造業の回帰は、おそらく非現実的なものだと思います。もし彼がその考えを推し進めようとしているのであれば、アメリカの消費者がアメリカで生産された製品を購入することは非常に難しくなるでしょう。簡単に言えば、トランプはある時点で、関税の莫大な規模について譲歩しなければならない、ということです」
鈴木氏は、関税をめぐる戦いを、どちらが先に破れるかの耐久テストと見ているが、まだ勝者は見えない。
「予測するのは非常に難しいです。支持率だけでなく、中間選挙を控えた議会との関係も然りです。日本の戦略は、これらの脆弱性を利用し、時間を味方につけて、この交渉で有利に進められるようにすることだと思います」
日本も夏に参議院選挙を控えており、石破茂首相は関税による悪影響を避けるため、トランプ大統領との交渉をできるだけ長引かせようとするだろう、と鈴木氏は見ている。鈴木氏はまた、日本がアメリカ依存から脱却する必要があるとも考えている。
「日本はアメリカ市場への輸出依存を減らし、他の市場を見つける必要があると思います。これは日本企業にとって、トランプ大統領の予測不可能な行動によるリスクを軽減するために、生産性を再考し、再構築し、またサプライチェーンの異なるネットワークを見つけるチャンスです」