
S&P:湾岸協力理事会加盟国の政府債務が今年、過去最高の1,000億ドルに急増する見込み
ドバイ:S&Pグローバル・レーティングは7月20日、湾岸諸国の今年の政府債務借入額が過去最高の約1,000億ドルまで増加すると見込まれると発表した。
コロナ禍と原油安により資金需要が急増したためだ。格付け機関S&Pは、湾岸協力会議(GCC)加盟国の歳入不足額が合計約1,800億ドルにものぼり、1,000億ドルの債務借入と800億ドルの政府資産売却でまかなうことになると予測している。
「弊社のマクロ経済予測に基づき、GCC加盟国政府のバランスシートは2023年まで悪化が続くと予想される」と発表には書かれている。S&Pの発表した予測の根拠となるのは、ブレント原油の平均価格が今年2020年の残り期間は30ドル、2021年は50ドル、2022年は55ドルになると見込まれるという点だ。
湾岸諸国はコロナ禍によるダメージを強く受けており、原油安がこれに追い打ちをかけ、今年はほとんどの国の財政赤字が2けた増加すると予想されている。
サウジアラビア、カタール、バーレーン、アラブ首長国連邦(UAE)構成国のアブダビとシャルージャは今年、国家予算財源を確保するためすでに数百億ドルを借り入れている。
S&Pは2020年から2023年の間に、湾岸協力会議加盟国政府の抱える財政赤字が累計約4900億ドルに達すると見積もっている。2014年から2015年にかけての原油価格暴落以来、湾岸諸国は債務借り入れによる資金調達に大きく依存しており、2016年と2017年には国内および対外債務借入額が900億ドルを超えている。
S&Pは、借入額が過去最高の約1,000億ドルに今年達した後、2023年までには約700億ドルまで減少すると予測している。湾岸地域最貧国の1つオマーンは今年はまだ対外債務を調達していないが、S&Pでは今後数カ月で調達することになるとみている。
クウェートは2021年3月終了の本会計年度末までに最大160億ドルを借り入れる予定だが、長らく審議が続く新たな債務法案が議会を通過する必要がある。
ロイター通信