
【ニューヨーク時事】英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は16日、日本政府当局者が昨年末から今年にかけて、日産自動車とホンダに対し、合併に向けて協議するよう働き掛けていたと報じた。両社が直ちに提案を断ったため、計画は頓挫したという。
同紙が複数の関係者の話として伝えたところでは、両社に初めて合併の打診があったのは昨年末。電気自動車(EV)や自動運転技術の開発競争が激しくなる中、政府の中で「かつて強大だった日本の自動車業界の将来への懸念が高まっていることの表れ」だとしている。
同紙は合併案について「安倍晋三首相のアドバイザーらの保護主義的な本能から生じたもののように見える」と指摘。前会長カルロス・ゴーン被告の逮捕後、日産と仏ルノーの提携関係が悪化していることや、ホンダが他社と資本提携せずに独立路線を貫いていることへの懸念が背景にあるという。
ただ、両社が即座に提案を拒んだことで協議は実際に始まることなく頓挫し、新型コロナウイルス危機による混乱の中で立ち消えになったという。
同紙の取材に対し、日産、ホンダ、首相官邸はいずれもコメントを拒否した。
JIJI Press