
三菱重工業は29日午後4時25分、「光データ中継衛星」を、鹿児島県・種子島宇宙センターからH2Aロケット43号機で打ち上げた。約30分後、所定の軌道に投入され、打ち上げは成功した。
同衛星は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進める衛星同士の高速通信技術を実証する。静止軌道を周回し、高度数百キロに位置する地球観測衛星からのデータをレーザー光を使った高速通信で受け取り、地上局へ転送する。常に日本の上空にあるため、データを地上に送る時間を増やすことができる。
今回の衛星は、内閣衛星情報センターが運用する情報収集衛星用のデータ中継機器も搭載している。
情報収集衛星は、1998年の北朝鮮による弾道ミサイル発射を受けて導入された事実上の偵察衛星。晴天時に撮影可能な光学センサー衛星と、悪天候や夜間でも観測できるレーダー衛星で構成され、現在は設計寿命を超えたものも含め、光学3基、レーダー4基が運用中。
政府は2028年度以降、光学、レーダー各4基、データ中継衛星2基の計10基体制の確立を目指している。
JIJI Press