
感染症COVID-19の感染拡大により経済の緊張感がますます高まる中、日銀は上場投資信託(ETF)などのリスク資産の購入をより柔軟に行えるようにするための措置に重点を置きそうであることがロイター通信のアンケート調査でわかった。
アナリストらの調査ではまた、最近のコロナウイルス感染症の再燃で成長率が低下するとの予想から、3月までの会計年度の経済見通しが下方修正された。
パンデミックによる制限で世界第3位の経済大国では経済活動が停滞する可能性があり、日銀は、新たな感染拡大により大規模刺激策をより長期的に維持せざるを得なくなっている中で、2%の物価上昇目標を達成するより効果的な手法を検討しなければならなくなるかもしれないと、アナリストらは語った。
中央銀行は先月、イールドカーブ・コントロールと量的緩和政策について、より「効果的かつ持続可能」にする方法を模索するため、検証を行うと発表した。新しいGDP速報値が1月20、21日の政策決定会合で発表される予定となっている中、結果は3月に発表される予定だ。
「日銀は、2023年前半に終了する黒田(東彦)総裁の在任期間を通じて取られてきた現在の枠組みの維持の障害になりかねないような、その政策によって生じた歪みを是正することを考えているのかもしれない」と、東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは語った。
中央銀行が3月に結果を発表する時に、日銀がどのようなステップを取るのかとの問いには、31人のエコノミストが、中央銀行は「ETF、J-REITの購入をより柔軟にする」と回答した。アンケート調査は、1月7日から18日の間に実施された。
8人のアナリストは、日銀が超過準備高にのみマイナス金利を適用する3層構造の預金金利システムを見直すと回答し、2人は中央銀行が10年国債の利回り目標を他の期間に変更すると回答した。
質問は複数回答を可能とした。
中央銀行は、超低金利政策から本格的に撤退するのではという市場の不安を煽ることなく、大規模な額の上場投資信託を買い入れるという、問題のプログラムを縮小する方法を議論するだろうと、複数の情報筋がロイター通信に語った。
新たな緊急事態宣言
日本政府は先週水曜日、COVID-19の新規感染者数が着実に増加する中、今月これまでに東京を対象に宣言していた緊急事態を、さらに7府県に拡大した。
多くのアナリストは、今回の措置では、昨年4月と5月に課されたより厳しく広範囲に及ぶ制限と比較すると、経済へのダメージは少なくなると見込んでいる。
東京以外にも緊急事態を拡大する政府の決定前に行われたアンケートでは、アナリストらは、1月-3月期の経済は2.4%縮小すると予想していた。アンケートは12月には2.1%の拡大を見込んでいた。
3月までの今会計年度について、アンケート調査では、経済は先月の予想の5.3%縮小よりわずかに低く、5.5%縮小すると見込んでいた。
4月からの会計年度に関しては4月-6月期の4.1%成長から始まり、3.3%の拡大となると予想されていることが、アンケートからわかった。
「新たな緊急事態宣言下の制限は比較的穏やかなので、感染者数が下落するまでには長く時間がかかるかもしれません」と、T&Dアセットマネジメントの浪岡宏ストラテジスト兼ファンドマネージャーが語った。「物価の下落圧力は強まるかもしれません」。
変動性の大きい生鮮食品の価格を除いたコア消費者物価指数は、今会計年度0.5%下落し、来年度には0.2%上昇することが、アンケート調査からわかった。
日銀が次に政策を変更する時にどの方向へ動くかに関しては、エコノミストらの意見が分かれた。
39人のアナリストのうち、21人は、日銀が刺激策を縮小すると予想する一方、18人は金融支援を強化するとした。
複数の情報筋はロイター通信に対し、日銀は来年度の経済見通しをわずかに上方修正し、1月20、21日の政策決定会合では刺激策の拡大を先送りにするだろうと語った。
ロイター通信