
ノア・ヌガリ
リヤド:サウジアラムコは、市場の情勢が許せば自社株をさらに売り出すことを検討する可能性がある、とサウジアラビアのソブリン・ウェルス・ファンドのトップ、ヤシル・アル=ルマヤン氏が1月26日(火)に記者会見のテレビ中継で述べた。
サウジアラビア政府は2019年の新規公開株(IPO)でアラムコ株の1.7%以上を売却し、総額294億ドルという記録的金額を回収した。
この取引でサウジアラビアにおけるIPO が加速しており、サウジアラビアは石油依存を低減させることを目標とする改革のもと、同国の資本市場を一層拡大させようとしている。
アル=ルマヤン氏は、アラムコのバランスシートや財務状況とサウジアラビアのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)の間には何の直接的関係もなく、いかなる株式上場もすべて「適切な市場が適切な情勢となる」ことに基づいて行われることだと断言した。
アル=ルマヤン氏は、PIFの資産を5,700 SR(サウジアラビア・リヤル)(1,520億ドル)から1兆5千億 SR(4千億ドル)まで引き上げる計画についても記者たちに語った。
同ファンドはサウジアラビア経済の持続可能性の大黒柱となっており、同国のビジョン2030に直接関与している、と彼は言う。
アル=ルマヤン氏によると、PIF は現在2021年から2025年までの期間の戦略のうち8つの基本となる柱を推し進めており、PIF の新たな戦略の中の国内投資に焦点を当てていくという。これについてはムハンマド・ビン・サルマン皇太子が先週発表している。
さらに、国内投資の4つと海外投資の2つのポートフォリオに資本分配し、次の5年間には新プロジェクトに1兆SR (2,670億ドル)を投資する計画もあると言う。
アル=ルマヤン氏は、新たな投資に対して同ファンドの資金と資産から融資することが政府によって認可されており、さらに将来的なプロジェクトへの資金集めについては現在の企業たちがもたらす収益に頼ることになると述べた。PIFは30社以上の新会社を立ち上げたとも言う。
2017年に同ファンドはソフトバンク創業のための1千億ドルのテクノロジーファンドに450億ドルを投資すると発表した。「ソフトバンクは史上最高値を更新している」とアル=ルマヤン氏は言う。「リスクが高いほどリターンも大きい。我々は常に様々な部門と地域における読みと投資に多様性を持たせようとしている」
PIF が後ろ盾となっているもう一つの注目企業がルシード・モーターズで、このカリフォルニアの電気自動車メーカーは2018年に10億ドルの投資を受けている。メディアの報道によると、このメーカーはサウジアラビアのジッダ近郊に電気自動車工場を建設するため、PIF と協議に入っているという。
「我々は良いアイデアには常にオープンだ」とアル=ルマヤン氏は言う。「我々が投資家たちのためにどれほど多くの機会を開拓することができるかということを提供していきたい」と言う。
アル=ルマヤン氏によると、同ファンドは多くの他の潜在的企業と話し合いを始めているが、詳細についてはコメントを避けた。
「我々は非常に進んだ段階に来ているが、様々な契約条件や交渉内容のためにこうした契約がいかに複雑なものであるかはご存じの通りだ。しかし、多数の企業と話しが煮詰まりつつあり、今年も多くの他の企業が参入してくるだろう」