東京:フォード・モーターのミシガン工場からその車の姿が消えてから10年、日本の自動車メーカーのマツダは再び米国で、今度は同じ日本のメーカーであるトヨタ自動車と共同で生産を行っている。
1月にアラバマ州の合弁工場で初めて生産されたマツダのクロスオーバー「CX-50」は、コスト削減の知恵と製造能力で知られる両社の効率的な生産方式が採用されていた。
マツダにとって、トヨタの現地の深い知識と定評がある信頼性を生かした現地生産の再開は、世界第2位の市場で販売を急拡大させるための大きな変化となるはずだ。
Mazda Toyota Manufacturing USA(MTM)の相原正志社長は先週、ロイターのインタビューに応じ、「トヨタの米国での豊富な経験から学ぶことができるのは、我々にとって大きな利点だ」と述べた。
この両社の折半出資のベンチャーは、一見すると「ダビデとゴリアテ」のようだが、そこから垣間見ることができるのは、増え続ける小規模な提携先から新鮮な技術を得ようというトヨタの狙いだ。
アップルやソニーグループの新規参入が見込まれるなど、業界内の競争が激化する中、トヨタは近年、マツダや小型車メーカーのスズキ、四輪駆動車の専門メーカーであるスバルに少数株主として資本参加している。
マツダで38年の経験を積んだ相原氏は、投資額23億ドル、年間生産能力30万台の工場を自身が率いることになったのは、互いに学び合っていることの証拠だと述べた。
「豊田(章男)社長のもと、トヨタは常にやり方を変えようとしています。(私をこのポジションに就かせたのは)『マツダから学ぶべきことがあるなら、学べ』ということなのだと思います」
ベストプラクティス
昨年新設したアラバマ州ハンツビル工場は、将来的に電気自動車を追加することを想定して設計されており、マツダにとって初めての試みが数多く含まれている。
MTMは、現場のサプライヤーからの部品を連結したトラクターで牽引し、トラックへの積み込みと積み下ろしの時間を短縮している。
また、車両の組み立て順序を合理化し、機械を可能な限り標準化することで、最終的にはマツダ車とトヨタ車を同じラインで生産することができるようになった。
相原氏は、「自分たちが物事を習慣的にやっていることに気づくことが、両社ともにありました」という。「そして、場合によっては、我々は双方の技術を取り入れたハイブリッドな方法を考え出しました。これは、マツダ単独ではできないことです」
しかし、この事業には問題がなかったわけではない。
労働市場の逼迫により、工場は目標の4,000人にまだ900人足りず、2シフトではなく1シフトでの操業を続けている。マツダはこの10年間の半ばまでに、米国での販売台数を約3分の1伸ばして45万台にしたいと考えている。
日本のマツダとトヨタの工場で6つのチームの研修を実施するという初期の計画は、新型コロナウイルス感染症によって頓挫し、2チーム目は出張の短縮を余儀なくされた。しかし、トヨタの米国での軌跡がここでも実を結んだ。相原氏は、「ケンタッキーなどの地元の工場が、残りのチームの研修実施に協力してくれました」と述べた。
「最終的には、我々の米国事業の発展に寄与することが、この工場の最大の使命です」と同氏は述べた。
ロイター