
バンコク時事:日米中ロなど環太平洋の21カ国・地域が参加するアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合は22日、タイ・バンコクで2日間の討議を終え、閉幕した。日米など西側諸国と、ウクライナ侵攻を続けるロシアとの対立が先鋭化し、全会一致が必要な共同声明の採択は見送られた。参加国・地域が分断され、APECは機能不全に陥っており、枠組みの存在意義が問われそうだ。
日本から出席した萩生田光一経済産業相は閉幕後に記者会見し、会合でロシアのウクライナ侵攻について、「明白な国際法違反であり、断じて許容するものではない」と非難したことを明らかにした。その上で、資源や食料の価格高騰が世界経済の回復に悪影響を与えているとして、各国が国際社会の秩序を取り戻すため最大限努力するよう呼び掛け、米豪などの賛同を得たという。
会合でロシアの閣僚が発言した際、日米豪などの出席者はウクライナ侵攻に抗議するため退席した。日米などは共同声明にロシアを強く非難する文言を盛り込むよう主張する一方、ロシアは反発。共同声明はまとまらなかった。
参加国・地域は、多国間貿易の重要性に加え、新型コロナウイルス感染拡大で消失した旅行需要回復のため、「人の移動の自由」再開などについて議論した。
時事通信