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サウジとUAE、サウジの成長が地域にさらなる機会をもたらすと強調

世界経済フォーラム2022のパネルディスカッションに参加するサウジ閣僚たち。(WEF)
世界経済フォーラム2022のパネルディスカッションに参加するサウジ閣僚たち。(WEF)
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26 May 2022 01:05:53 GMT9
26 May 2022 01:05:53 GMT9
  • WEFのパネル「サウジの展望」に参加したサウジのハーリド・アル・ファーリハ投資相は「上げ潮は全ての船を持ち上げる」と発言
  • ドバイを拠点とするDAMACのフセイン・サジワニ会長は、サウジとUAEは「成長という意味では競争ではなく補完し合っている 」と述べた。

タレク・アリ・アフマド

ダボス:過去10年間、サウジアラビアと他の湾岸諸国は、資本や人材を引き付けるインセンティブを提供し、中小企業やスタートアップを奨励し、若い国民に民間部門での刺激的な新しいキャリアパスを提供しようとすることで、自国経済の石油以外への多角化を着実に進めてきた。

中国と米国の両方につながりを持つ中東最大の経済大国であるサウジアラビアは、その戦略関係と炭化水素資源を利用してボラティリティーの高いエネルギー市場を安定させ経済回復を進めることができる立場にある。予想できたことだが、サウジアラビアが改革を継続する中、同国の優先事項と現在の不穏な地政学的状況への対応が脚光を浴びている。

サウジアラビアの経済多角化のペースは、2016年のムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下(当時は副皇太子)による 「サウジビジョン2030」発表以来大きく加速している。現在は、ビジネス成長、観光、教育、製造、エンターテインメント、医療などの部門に力点が置かれている。

このことは、サウジアラビアと他の湾岸諸国、特にアラブ首長国連邦にとってサウジアラビアの発展がウィンウィンになり得るかという憶測を経済アナリストの間に呼んでいる。この質問が、ダボスの世界経済フォーラム年次総会で水曜日に行われた「サウジの展望」と題したパネルディスカッションのスピーカーに投げかけられた。

サウジアラビアのムハンマド・アル・ジャダーン財務相はその質問に最初に回答し、「サウジアラビアのような国が動けば他の国も頑張る。今起こっているのはそのようなことだ。だからサウジアラビアだけでなく地域全体の利益にかなっている」と語った。

アル・ジャダーン財務相の見解に他のスピーカーも同意した。口火を切ったのはサウジアラビアのハーリド・アル・ファーリハ投資相で、「上げ潮はすべての船を持ち上げる。地域統合は、サウジアラビアにとってというより、より小さいが非常に重要な近隣諸国の経済にとって重要だ」と語った。

「だから、サウジアラビアの経済的・競争的パフォーマンスの向上が実のところ近隣諸国の競争力に貢献すると信じている。それらの国の企業や事業や政府が、サウジアラビアにおいて、より大きな世界経済に統合されることが可能になるのだ」

ハイファ・ビント・ムハンマド・アル・サウード戦略・執行担当次官はサウジアラビア観光省の立場から「競争は非常に重要だ。我々はサウジアラビア国内の異なる観光地の間に競争を作り出している。そうすれば質が向上するからだ。互いに補完し合うようになるから非常に健全でもある」と語る。

より広い範囲に関しては、彼女は「サウジアラビアは全体の中でのハブになっているため、この国を訪れた人には他の国への訪問もアピールとなる。だから(競争は)絶対にメリットになる」と語る。

サウジアラビアのファイサル・アル・イブラヒム経済・計画相は「私の考えでは、競争や競争心はレベルを上げるために欠かせないものだ。しかし協力も必要だ」と語る。

「舞台裏では多くの協調と協力がなされている。地域内の政策立案者の間には保証を与えてくれる多くの仲間意識が育まれている」

サウジアラビアは昨年、ビジョン2030戦略のもとで国際投資家向けに提供された3兆ドルの投資機会を利用しようとする企業に対し一定のルールを設定した。政府は、2024年以降はサウジアラビア国内に地域本部を持たない外国企業とは契約しないと発表したのだ。

この新しい取り決めはサウジアラビアとアラブ首長国連邦との間に競争意識を呼び起こしたと考えられている。サウジアラビアとアラブ首長国連邦が投資の誘致や展開のための積極的な取り組みを発表する中、両国間の経済競争の話題は常にニュースとなっている。

しかし、 ドバイを拠点とするアラブ首長国連邦の不動産開発企業であるDAMACのフセイン・サジワニ会長は、サウジアラビアとアラブ首長国連邦は、成長という意味では競争ではなく補完し合っていると考える。

「2つの異なる経済、2つの異なる展望により、両国は補完し合っていると思う」と、同会長は火曜日にダボス会議の傍らでアラブニュースに対し語った。

「ドバイは旅行・観光ビジネスの接続点だが、サウジアラビアは非常に異なる。だからドバイの企業がサウジアラビアの成長を助け補完する」と同会長は語る。

この1年、同様の意見を表明するアラブ首長国連邦のビジネスマンや政府閣僚が他にもいたが、この2つの湾岸協力会議加盟国は自国の多角化戦略の一環として独自に社会・経済政策を調整しているというのが総意になっている。

アブダビ政府系ファンドであるムバダラのバドル・アル・オラマ・エグゼクティブディレクターは、昨年11月のアラブニュースに対するコメントで、サウジアラビアとアラブ首長国連邦の経済発展がゼロサムゲームだという考えを退けていた。

「市場は非常に大きいのだから、多くの人が競争だと解釈しようとしているのは完全な間違いだ」と彼は語っていた。「我々が近しい隣国であるという事実は、世界的スケールで競争するための能力をある程度は補完し合うことができることを意味している」

アラブ首長国連邦のハリファ・シャヒーン・アル・マラール国務相が12月のアラブニュースのインタビューに対し語っていたところでは、アラブ地域全体に恩恵をもたらし世界平和と人類の福祉により良い結果をもたらす政策を両国は採用してきた。

「アラブ首長国連邦とサウジアラビアは、経済的・開発的な統合を含む、両国および広範な地域に恩恵をもたらす緊密で補完的な関係を維持している」と同国務大臣は語っていた。

「この地域における健全な経済競争は重要だと信じており、アラブ首長国連邦は常にそれを、新たな可能性を生む機会、地域全体に恩恵をもたらす政策を採用する機会として見ている」

「両国間の経済的パートナーシップは開かれた交流と協調に基づいている。サウジビジョン2030とUAEビジョン2021を調和させるために設立されたハイレベル二国間機構であるサウジ・UAE調整審議会は、両国間でさらなる経済協定を結び貿易を効率化するうえで重要な役割を果たし続けている 」

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