シンガポール:原油価格は24日、一時1バレルあたり1ドル近く上昇した後、横ばいで推移。市場において、米国の経済活動の冷え込みによる需要鈍化の懸念と供給不安の均衡が取れたためだ。
ブレント原油先物は、03:10(GMT)までに5セント(0.1%)安の1バレル110.00ドル、米ウエスト・テキサス・インターミディエイト原油先物は19セント(0.2%)高の1バレル104.46ドルで取引されていた。先の取引では価格が約1.5%下落した。
SPIアセットマネジメントの業務執行社員、スティーブン・イネス氏は、米国の製造業およびサービス業PMIが予想を大きく下回り、さらにドイツの製造業データも下振れしたため、原油先物は再び売りモードに転じたと述べた。
「このような状況下では、原油価格の上昇は、供給量に対するどんな認識にも、言い換えれば供給量の増加に対し非常に敏感に反応する」とイネス氏は述べ、ロシア産原油が石油コンビナートに大きな影響を与える兆候や、石油輸出国機構とその同盟国(OPECプラス)の増産圧力が高まっていることに言及した。
OPECプラスは、ジョー・バイデン米大統領がサウジアラビア訪問を予定していることから、原油価格とインフレの緩和を期待して8月に増産を加速する計画を堅持する可能性が高いと、情報筋は述べている。
OPECプラスは6月2日に開かれた前回の会合で、7月に日量64万8000バレル(世界需要の7%)、8月にも同量の増産することに合意した。これは9月までの3カ月間で1か月あたり日量43万2000バレルを追加する当初の計画から上積みとなる。
この動きは、ウクライナ侵攻をめぐり欧米がロシアへ行った制裁措置によって悪化した世界的なエネルギー不足に対処するため欧米が数カ月にわたり圧力をかけたことを受けたもので、アメリカ政府では歓迎されている。
しかし、OPEC加盟国の中には油田への投資が乏しい国もあり、また最近ではロシアの生産量が減少していることから、OPECプラスは毎月の増加目標を達成するのに苦労している状況だ。
米国エネルギー情報局は、米国石油在庫の正式な週間推定値を23日に発表する予定であったが、技術的な問題により数字の発表は来週までずれ込むと述べた。具体的なスケジュールは明らかにしていない。
OPECプラスは6月30日に次回の会合を開き、8月の生産政策に焦点を当てる可能性が高いとみられる。
「OPECプラスは今月の会合で計画を変更するつもりはない」とあるOPECプラスの情報筋が述べた。他にも4人の情報筋が同様の発言をした。
ロイター