





アラブニュース・ジャパン
東京: 空中を走行するホバーバイクを製造する東京のスタートアップ企業A.L.I.Technologiesは、日本での販売に続いて、中東を含む世界規模でのビジネス拡大に乗り出す。
同社は今年後半から、中東においてホバーバイクの生産を開始する。価格は77万7000ドル。すでにパートナー企業を決めており、日本から輸出した部品を使って機体を組み立てるため、アラブ首長国連邦(UAE)の現地企業と連携している。
創業者の小松周平・代表取締役会長は、東京で行われたアラブニュース・ジャパンとのインタビューで、「GCC地域に関しては砂漠での飛行に焦点を当てており、現在サウジアラビアやUAEと協議を進めています。まずはアブダビに製造拠点を置きたいと考えています。サウジアラビアからも、私たちの製品に関心を持って下さる人々が来日しています」
「XTURISMO Limited Edition」は地上約8メートルの高さまで飛ぶことが可能。同社は、地上2メートルでの飛行と、海や砂漠など開けた土地での利用を推奨している。飛行中のバイクは、アプリを使って位置を追跡できる仕組みとなっている。
A.L.I. Technologiesは2017年よりホバーバイクの開発を始め、「空間を駆け抜ける」という今までにない新しい体験を提供するエアモビリティを目指し、「XTURISMO Limited Edition」を完成させた。ハイパフォーマンスなマシン機能を搭載、外観デザインについても細部にまでこだわったという。
小松氏によると、飛行に必要なトレーニングはほとんどない。「特に必要な事前トレーニングはありません。ホバーバイクはとてもシンプルで、操作は簡単。特別な資格も必要ありません。地上からの遠隔操作もできるので、障害のあるドライバーでも操縦可能です。マニュアルとオートマティック、リモートコントロールがあります」
プロペラを使って地上から数メートルの空域を走行できる仕組みで、災害時の救助活動に使われるだけでなく、自動車の後継機としても有力視されている。
日本では、北海道日本ハムファイターズの本拠地における開幕戦セレモニーで「XTURISMO Limited Edition」の特別仕様モデルが登場し、話題となった。また、5月に三重県・鈴鹿サーキットでのイベントにも出展、近未来を感じさせる機体を一目見ようと多くの家族連れが訪れた。
現在のところ、国内での使用は私有地内の飛行を想定した注文が中心である。
一方、海外からもすでに多くの問い合わせがあるという。これを受けて同社は、先般モナコにて開催されたスーパーカーショー「Top Marques Monaco」へ機体を出展。アルベール2世大公による除幕式が行われ、会場が注目する中で世界展開の開始を発表した。展示機体への試乗も可能で、海外の人々がホバーバイクの利用イメージを持つ貴重な機会となった。
レジャー以外にも救助活動やエンターテイメントとしての幅広い活用が期待される。ホバーバイクは砂漠などの厳しい条件下でも飛行できるため、中東に適していると考えられている。
「XTURISMO Limited Edition」には小松氏の夢が詰まっている。小松氏は、「幼い頃に映画で観たものの本物を作りたいという思いがあった。”XTURISMO Limited Edition”はスター・ウォーズから多くのインスピレーションを得たことがきっかけで開発に着手しました」と語った。
A.L.I.Technologiesは、9月に米国デトロイトにて開催されるモーターショーで「XTURISMO Limited Edition」のパフォーマンスと展示を予定している。