トヨタ自動車は29日、同社の8月の世界自動車生産台数が記録的なペースで増加したと発表した。自動車業界が新型コロナウイルス感染症のパンデミックから立ち直り、主に海外で生産能力が高まったのが原因だ。
中国がコロナ関連の規制を元に戻し、半導体不足が緩和の兆しを見せているにもかかわらず、970万台という年間生産目標を維持できるかどうか注視されていたこの日本の自動車メーカーに、この発表は少しの安堵感を与えている。
8月の生産台数は前年同月比44.3%増となり、3月以来の増加となった。販売台数世界一の自動車メーカーであるトヨタは、8月に全世界で76万6683台を生産した。目標としていた約70万台を上回り、前年同月の生産台数である53万1448台も上回った。
生産台数が増えたのは主に海外だった。国内生産は前年同月比5.6%増だった。海外生産は前年同月比65.1%増で、これも8月としては過去最高の伸びだった。
半導体不足が緩和され、主に消費者の強い需要もあるアジアで、予想よりも多くの半導体部品を確保することができた、とトヨタの広報担当者は話した。
それでもトヨタは、世界的な半導体不足と新型コロナウイルス感染症の世界的流行のせいで先行きは依然として不透明だと発表した。
先週、同社は10月の世界生産台数は80万台程度となる見込みであると発表した。半導体不足のため、月平均で90万台としていた生産計画より10万台ほど少なくなっている。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の杉本浩一シニアアナリストは、「業界全体で一進一退」とし、「全く駄目ということではないが、着実に伸びてきているということでもない。まだまだ予断を許さない状況だ」と述べた。
ロイターが企業データを基に計算したところ、今年度の4〜8月の生産台数は当初の計画より6.7%少ない。先月は10.3%少なかった。
海外売上も8月としては過去最高だった。これは、中国や他のアジア地域での新型コロナウイルスの流行による昨年の売り上げの減少からの反動によるものだ。
8月の海外販売は前年同月比8.9%増の69万4272台。国内は部品供給不足や新型コロナウイルス感染症の流行による生産の混乱により同25.8%減の8万2775台と落ち込んだ。
トヨタの豊田章男社長は29日、ラスベガスで開催される全米ディーラー大会に出席する予定だ。パンデミック以降初めて米国のディーラーの前に直接姿を現すことになる。
トヨタの8月の米国での生産台数は、前年同月比11.9%増となり、3月以来の増加となった。生産能力の拡大や、昨年は半導体などの部品が不足して米国工場の操業停止を余儀なくされていたことが原因だ。
一方、同社の米国での売上は先月、9.8%減少した。
ロイター