
アラブニュース
ワシントン:国際通貨基金(IMF)はロシアの対ウクライナ戦争、慢性的なインフレ圧力、急激な利率変動、未だに残る世界的パンデミックの余波などを挙げて、2023年の世界経済見通しを下方修正した。
IMFは火曜日発表した見通しの中で、来年の世界経済の成長を、7月に発表した2.9%から2.7%に下方修正した。
一方でIMFは今年の世界経済成長率については、変更はないとした。
今年の成長見通しは3.2%で、昨年の6%という数字からは大きく減速している。
「世界の状況は不安定で、暗雲が立ち込めている」とIMFの報告書は形容している。
報告書によれば、続く市場の不安定性、逼迫する流動性、長引くインフレ、各国中央銀行がその対策として行っている利上げなどが組み合わさって不安定でリスクを伴う環境を生み出している。
「投資家は急速にリスクを伴う取引から手を引いており、経済・政治的な見通しを再評価する中で投資リスクが過大に見積もられる危険がある」と報告書は述べる。
「とりわけ、市場の変動と急激な金融引き締めは、すでに存在する経済の脆弱性と相互作用を起こし、またそれによって強化される可能性がある」
IMFは次のように警告する。
新興市場諸国経済は高い借入コストや高インフレ、不安定な商品市場といった「多数のリスク」と取り組んでいる最中であり、いかなる景気後退からも深刻な影響を受けるであろう。
また、以下の点にも注意を促している。企業部門においてはクレジット・スプレッドの差が大幅に拡大しており、金利の上昇が住宅市場に負の影響を与える恐れがある。
中国では、不動産部門の業績悪化がすでに深化を見せており、不動産開発会社の失敗が金融部門にまで波及する可能性があるとIMFは警鐘を鳴らしている。
IMFの予測では、中国の今年の成長率は3.2%で、昨年の8.1%から大幅に減少した。
先進諸国の金融機関には十分な資本と流動性があるように思われるが、IMFが世界中で行ったストレステストによると、新興市場の銀行の内、最大29%が深刻な世界同時不況では資本要件を満たせなくなり、2千億ドル以上の資金不足に陥るという。
アメリカの銀行では今週から、第3四半期の収益の発表が始まるが、利益の減少が見込まれている。
IMFは今年のアメリカ経済の成長見通しを、7月の発表時の2.3%から1.6%へと大幅に下方修正した。
来年の成長については、さらに低い1%を予想している。
IMFによると、ユーロ圏19カ国の経済は全体として、ロシアによるウクライナ侵攻と西側諸国の対ロシア制裁によって生じたエネルギー価格の急騰の影響を被っており、2023年の成長率は0.5%にとどまる。
サウジアラビア
IMFの報告書によれば、サウジアラビアの年次総生産は10月には7月の予想から2.4%減少して4.5%の成長となった。これは2022年第4四半期と前年の同じ時期を比較した値である。
サウジアラビアの2023年の前年度比成長率は3.7%で変わらない見通しである。
IMFの予想では、サウジアラビアの2022年の成長率は7.6%のままであり、2023年にはこの数字は3.7%になる。
IMFのデータによると、サウジアラビアの実質GDP成長率は今年末までに年率で3.4%増加し、7.6%に達すると予想される。
サウジのGDPは、2023年は前年度比で2.4%の成長にとどまり、翌年には成長率は3.8%へと回復する見込みである。