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ダボス会議は中東が輝く機会:世界経済フォーラムMENA責任者マルーン・カイルズ氏

ダボスで開催される今年のWEF年次総会は「分断された世界における協力」をテーマとしている。(Manuel Lopez/World Economic Forum)
ダボスで開催される今年のWEF年次総会は「分断された世界における協力」をテーマとしている。(Manuel Lopez/World Economic Forum)
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17 Jan 2023 09:01:34 GMT9
17 Jan 2023 09:01:34 GMT9
  • カイルズ氏はアラブニュースに対し、中東・北アフリカ地域は「世界の地政学的取り組みの中心地」となったと語る
  • 今年の世界経済フォーラム年次総会には過去最多のアラブ諸国の国家元首が参加する

タレク・アリ・アフマド

ダボス:お馴染みの雪に覆われた山岳リゾートのダボスで世界経済フォーラム(WEF)年次総会が今年も開催されるが、多くの人が関心を寄せているのは、アラブ世界の代表団がこの会議にどのような貢献をできるかということだ。

世界経済フォーラムの中東・北アフリカ(MENA)地域責任者であるマルーン・カイルズ氏はアラブニュースに対し、「一言で言えば、アラブ世界が輝く機会になると思う」と語る。

「(今年の会議は)サウジアラビア、UAE、カタール、オマーンで長年にわたって行われてきた努力や改革へのコミットメントの集大成となる」

世界経済フォーラムのMENA地域責任者マルーン・カイルズ氏は、湾岸地域は世界の地政学的取り組みの「中心地」として最重要の位置にあると語る。(提供写真)

「これらの国々は、5~6年前、あるいは一部の国では20年前に植えた種から育った果実を収穫しようとしており、それによってこれらの国々は重要な位置を占めるようになる」

今年の会議は「分断された世界における協力」をテーマに開催される。多くの危機が重なって世界を悩ませている現在にふさわしいテーマだ。

ロシアとウクライナの戦争は収束の兆しを見せないまま開始から1年を迎えようとしており、世界中の家計に大きな負担をかけている継続的なインフレ危機に拍車をかけている。

WEF1日目の代表ら。ダボス。(写真:AN/Tarek Ali Ahmad)

一方、大国間、特に米中間の地政学的・地経学的競争の高まりは、さらなる不透明感を生み出すとともに世界のパワーバランスを再構築している。

今年のダボス会議には過去最多のアラブ諸国の国家元首が参加する。上述のような危機の中、アラブ地域がその地政学的・経済的位置によって仲介者の役割を果たす有力な候補であることは明らかだ。

カイルズ氏はアラブニュースに対し、「我々は、この地域が再び世界の地政学的取り組みの中心地となるのを目の当たりにしてきた」と語る。

それを示す過去1年間における顕著な例としては、米国のジョー・バイデン大統領によるサウジアラビア訪問、昨年12月に同国で開催された中国・アラブサミットへの習近平国家主席の出席、ロシアとウクライナの間の捕虜交換の仲介においてムハンマド・ビン・サルマン皇太子が果たした役割などが挙げられる。

カイルズ氏は次のように語る。「これはそれなりに真実味のある話だと思うが、他の場所に利害がある国々にとっても、この地域は世界の安定、エネルギーの安定、世界経済の安定のカギを握っている」

「過去1年間に起こったことを見るに、多くの国々がそのことに気づいたように思う」

中東は投資に関して重要であり、この地域の政府系ファンドは世界中に投資していると、WEFのボルゲ・ブレンデ総裁は語る

WEFのボルゲ・ブレンデ総裁も、今年の会議のオープニングでアラブ世界の重要性を強調した。同総裁は記者会見で、「6人の国家元首および首脳のほか、非常に有力な代表団を迎える」と述べた。

「中東は投資に関しても重要だ。この地域の政府系ファンドは世界中に投資している」

カイルズ氏は、近年経済や外交面で進展を遂げているサウジアラビア、UAE、カタールを称賛しながらも、これらの国々に対し改革のアクセルを緩めないよう求めた。

世界経済フォーラム(WEF)年次総会初日、アルプスのリゾート地ダボスにある会議場の入り口を警備する警察官たち。2023年1月16日。(AFP)

同氏は次のように語った。「その立場をさらに強固にし繁栄と経済的重要性への道をさら進むための改革の勢いが、高いエネルギー価格や有利な財政環境によって緩むことがないように、今は願っている」

サウジアラビアの経済的重要性は、その成長の規模と強さから明らかだ。エネルギー価格上昇に牽引され、同国は2023年にインドを抜いて最も成長の速い主要経済国になるとみられる。

インド統計・事業実施省が発表した公式データによると、サウジアラビアのGDP成長率は7.6%となりインドを上回ると予想されている。

カイルズ氏は、「湾岸協力理事会地域は、経済成長という意味で最も強力な地域の一つとなっている」と語る。

「2022年、サウジアラビアは約8%の経済成長率を示し最も成長の速い大国の一つとなった。ちなみに、S&P500(米国の国内上場企業500社で構成される株価指数)は過去1年間で20%下落している」

「もし2007~2008年の金融危機が繰り返されたとして、大きな資金プールを忍耐強く保有しているのはどの投資家だろうか。それはやはりアラブ世界の政府系ファンドだ。当時、世界市場を安定化し流動性を提供するうえでそれらが重要な役割を果たした」

世界経済フォーラム(WEF)年次総会初日、アルプスのリゾート地ダボスの様子。2023年1月16日。(AFP)

このことを念頭に、もし世界がリセッション入りしたら湾岸諸国が「再びこれらの取り組みの前面や中心に出る」とカイルズ氏は予測する。

WEFの調査によると、チーフエコノミストの3分の2が、地政学的緊張の継続や欧米のさらなる金融引き締めによって今年は世界的なリセッションになると予想している。

WEFのマネージングディレクターであるサーディア・ザヒディ氏は、会議に先立って開かれた記者会見で、「チーフエコノミストの3分の2が2023年に世界的なリセッションが起こると予想しており、世界経済は不安定な状況にある」と述べた。

「高いインフレ率、低い成長率、高額の負債、深い分断に苛まれている現状のせいで、成長に回帰するために、また世界で最も弱い立場にある人々の生活水準を上げるために必要な投資へのインセンティブが低下している」

今年のWEF総会には、世界のあらゆる主要地域から世界的リーダーや外交官ら2700人以上が参加する。

しかし、危機に苦しむレバノンやイエメンなどのアラブ諸国の代表は今年のサミットに参加しない。カイルズ氏によると、両国政府に対し参加を求めたが実現しなかったのだという。

「両国政府には招待状を送った。ある時点では前向きな雰囲気もあった」とカイルズ氏は言う。

「しかし残念ながら、両国は国内情勢のために参加できなかった。例えばレバノンは現在大統領が空位になっている状況で、閣僚や首相が外遊することは難しい」

レバノンは2019年後半から史上最悪の経済危機に見舞われている。数百万人が貧困に陥る前例のない危機であるにもかかわらず、同国の政治家は言い争いを続けており、昨年10月以降新大統領を選出できずにいる。

人為的気候変動による共通の脅威が中東地域各地で常に異常気象災害や環境破壊を引き起こしている中、WEFやその他の同様のサミットにアラブ諸国が参加することがさらなる急務となっている。

カイルズ氏は、「水問題が原因で2050年までにこの地域のGDPの14%が失われる可能性がある」と言う。「迅速に行動を起こさなければ、この地域は気候変動によって最も大きな被害を受ける地域の一つとなる」

しかし、昨年11月にはエジプトで気候変動会議COP27が開催され、今年はUAEでCOP28の開催が予定されるなど、「2035年に向けてこの地域がリーダーやパイオニアとなる舞台を整える絶好の機会」が存在しているとカイルズ氏は言う。

「金融的手段や、大規模プロジェクトの管理に関する専門知識など、気候変動対策のグローバルリーダーになるために必要な手段を我々は持っている」

また、今年のダボス会議には過去最多のビジネス関係者が参加する。WEFパートナーの世界トップクラスのCEO600人以上をはじめとして、民間部門の700団体から1500人以上のリーダーが参加登録している。

世界有数の大学、研究機関、シンクタンクからも専門家やトップら125人以上が参加する。

主催者によると、WEF総会は6年連続で気候中立な形で開催されるとのことだ。

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