東洋建設の定時株主総会が27日、東京都内で開かれ、会社提案の取締役候補11人中6人の選任議案が可決された一方、同社買収を目指す任天堂創業家側が株主提案した候補も9人中7人が可決された。任天堂創業家側が過半数を握り、会社側が拒んできた買収提案への対応にも影響を与える可能性が出てきた。
東洋建設は総会後に取締役会を開き、退任が決まっている武沢恭司社長の後任人事などを協議。会社側の社長候補、大林東寿専務の選任について議論した。
株主提案は、東洋建設株式の28%超を持つ任天堂創業家の資産運用会社「ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス(YFO)」が行った。昨年5月に示したTOB(株式公開買い付け)による非上場化案に会社側が応じなかったことを受け、現経営陣では「自己保身などにより買収提案を適切に検討できない」と主張。武沢社長らに代わる外部人材の選任を株主提案で求めた。
総会では、YFO候補のうち、三菱商事常務などを務めた吉田真也氏や、電源開発(Jパワー)副社長だった内山正人氏らが選任された。YFOは、デジタル化の推進や洋上風力事業の競争力強化などを買収目的に挙げている。
総会結果を受けてYFOの村上皓亮最高投資責任者は、非上場化案を含む企業価値向上の議論について「改めて検討し、東洋建設との協議に真摯(しんし)に臨んでいく」とコメントした。
東洋建設によると、27日の総会には株主31人が出席。株主からは「任天堂を大きくした山内(溥)氏の孫(YFO代表理事)がそんなに悪いことをするはずがない」との意見が出たという。
時事通信