
Sean Cronin
ロンドン:月曜日、S&Pグローバル・レーティングは、湾岸諸国は石油価格の下落によりすでに傷ついているが、コロナウイルスの輸出への影響による、さらなる経済的打撃を受ける可能性があると警告した。
格付け機関は、ウイルスの経済への影響は、経済成長全体、原油価格、一部企業の信用力への影響も含め、予測できないほど拡大する恐れがあると確信している。それでも、基本ケースシナリオでは、現在、限定的な影響にとどまると予想されている。
「世界の経済活動における中国経済の重要性を考えると、最近の動向がGCC諸国の成長見通しを圧迫する可能性があると予想され、すでに低い原油価格と地政学的リスクによる影響が出ている」とS&Pグローバル・レーティングはレポートの中で述べている。
新しいコロナウイルスの拡散の速度とピークの時期はまだ不明だが、S&Pによれば、伝染病学者によるモデリングでは、2月下旬から6月までがピークとなる可能性がある時期とみられる。
ウイルスの拡散にもかかわらず、S&Pの予測では、2020年の原油価格は1バレルあたり$60にとどまり、2021年以降に$55に下落するとなっている。
輸出量の観点からすると、地域経済への影響の可能性が一番大きいとみられる。S&Pは、GCC諸国の輸出品の4パーセントから45パーセントが中国向けであると推定しており、オマーンが最も輸出量が多く(45.1パーセント)、UAEが最も輸出量が少ない(4.2パーセント)。
貿易以外でも、湾岸諸国のホスピタリティ産業部門は、ホテルやショッピングモールへの旅行客の減少により苦しんでいるように感じられる。中国人旅行客の消費額は大きいため、影響はさらに増大すると思われる。
ニールセン社のデータによると、中国人観光客の滞在地での消費額は、世界で4番目に大きく、1人あたり3064ドル。2018年には約140万人の中国人観光客がGCC諸国を訪れており、2023年には220万人に増加すると予想され、UAEが主な目的地となっている。
2018年にドバイ国際空港を利用した乗客のうち、中国人乗客は、全体の3.9パーセントも占めた。
S&Pは、新しいコロナウイルスの影響が3月以降にも及ぶ場合、ドバイで開催されるExpo2020への訪問者の数は予想よりも少なくなる可能性があると発表した。
格付け機関は、中国企業への直接の関わり合いはほとんどないため、金融部門への影響は低く抑えられると予測している。