宇宙事業会社スペースワン(東京)は9日、同日午前に自社の発射場「スペースポート紀伊」(和歌山県串本町)で予定していた小型衛星ロケット「カイロス」初号機の打ち上げを直前で延期した。同社は理由について「海上警戒区域に打ち上げの10分前になっても船舶が残留したため」と説明。次回の打ち上げは13日以降を想定している。
同県那智勝浦町のホテルで行われた記者会見で、同社の阿部耕三執行役員は「(船舶に)速やかに出てもらうことができなかった。初めてのことで円滑にできなかった」と述べる一方、技術的な理由ではないと強調。警戒監視活動の前倒しを検討するなどし、「次は期待に沿えるようにしたい」と話した。
カイロスは全長約18メートル、重さ約23トン。2021年度中の打ち上げを予定していたが、これまで4回延期した。今回成功すれば、人工衛星を搭載した民間単独開発のロケット発射は国内初だった。
和歌山県の岸本周平知事は現地で記者団の取材に応じ、「何回かの延期を乗り越えてスタート地点に来たことに心から敬意を表したい。この延期を(改めて)スタートと考えたい」とエールを送った。
JIJI Press