ドバイ:想像してみてほしい。すべての人間が、仕事場でも社交の場でも、本当にどこでも、ロボット化されたアバターに取って代わられた世界を。
これは、ロボット工学者である日本の石黒浩教授が、今後数十年にわたって私たちの世界に思い描くものだ。
アラブニュース・ジャパンの取材に応じた石黒教授は、アバターの主な目的は、障害のある人々を助けることだと語った。
「障害者にアバターを与えれば、彼らは仕事を得て普通に生活することができます。このアバターを使えば、通勤時間を考える必要もありません」と説明した。
石黒氏は、ロボット・アバターを使い、人々は家にいることができ、その間にアバターは海外を含む多くの場所に行き、より多くの人と出会うことができると付け加えた。
ロボット工学者によれば、日本では特に、在宅する必要のある人が多いという。
「日本では今後50年間、労働力不足が深刻な問題になります。日本の人口は現在の半分まで減少します。だから、技術の世界では、特に日本向けのアバターが必要なのです。ヨーロッパや他のアジア諸国も同じような問題に直面しています」とアラブニュース・ジャパンに語った。
ロボット・アバターが日常的な交流で人間に取って代わることで、倫理的な問題が生じる可能性はあるのかとの質問に対し、石黒氏は、すべては用途によると答えた。
さらに、ロボットは人間の意図を理解する必要があり、ロボットを制御するのは人間のデータであると述べた。
「ロボットやAIの技術的進歩は、スマートフォンやコンピューターと非常に似ています。もちろん、人々のセキュリティとプライバシーを守るために、同様の技術を開発する必要があるでしょう」と語った。
大阪大学教授は、ChatGPTに関してはすでにセキュリティに対する恐れがあるため、対応する技術を早急に開発する必要があると付け加えた。
「多くの人は、ChatGPTやAIが自分の心や意識を持つようになることを恐れていると言います。しかし、私はAIを人間のためのパワーツールだと考えています。自動車やコンピューターと同じで、私たちは自分自身を向上させる必要があるため、こうした技術の進歩を決して止めないのです
石黒氏は、ロボットに関しては、人間はこのような発展を受け入れる必要があると語った。なぜなら、それは仕事を成し遂げる上でより効率的なものを生み出し、雇用市場にも良い影響を与えるからだ。
このロボット・エンジニアは、不気味なほどよく似た人間そっくりのロボット・バージョンを作ったことで知られている。
石黒氏は、人間の人間性をよりよく理解するために、自分の自動化されたコピーを作りたかったと説明した。
「ロボットは、私たちの人間性を映し出す鏡のようなものだからです。そして、社会的関係における意識など、人間の認知のメタレベルを深く研究することができるのです」と語った。
石黒教授によれば、このようなリアルなアンドロイドのコピーを作成する際の主な課題は、ジェスチャーも人間らしく見えるようにすることだという。
同教授は在ドバイ日本総領事館と共同で、6月26日に未来博物館で「日本のロボット技術: アバターベースの社会へ」と題した講演会を開催した。
講演の中で石黒氏は、日本とUAEは、2050年までに社会がバーチャルで活動できるようになるデジタル未来に備える革新的なアイデアを支援するイニシアチブであるムーンショット・プログラムで協力していると述べた。
また、UAEは日本や他の世界各国と比べ、新しいイノベーションをより受け入れていると説明した。
ムーンショット・プログラムの目標のひとつは、2050年までに人々が身体、脳、空間の制約から解放される社会を実現することだ。また、疾病予防、ロボットと人間の共存、食料安全保障と持続可能性にも目を向けている。
石黒氏はまた、河野太郎デジタル担当大臣をはじめとする日本政府高官と共同で、彼自身のアバターを開発し、G7サミットのある会合に参加した。
石黒教授は、誰もが様々な活動に自由に参加でき、通勤時間を最小限に抑えながら、いつでもどこでも仕事や勉強ができる世界を思い描きながら、すべての人を包含する社会の実現に期待している。
また、同社は2025年の大阪・関西万博に出展し、パビリオンの来場者に今後数十年の間に私たちの社会が期待する革新的なアイデアを探ってもらう予定だという。
今西純総領事は講演会の冒頭でスピーチを行い、ドバイは日本の最新技術を紹介するのに最適な場所であると説明し、UAEと日本の関係強化を称賛した。