


ドバイ:1997年に発足した国際松濤館空手道連盟(ISKF)レバノンは、情熱的な指導者たちによる小さなグループから着実に成長し、今ではレバノン全土に数百人の会員を擁する素晴らしい組織となった。
日本の伝統的な価値観への献身を特徴とするこの団体は、強力な武道コミュニティを築いただけでなく、レバノン全土の文化交流と社会的イニシアチブを育んできた。
ISKFレバノンは、日本のISKF本部とのつながりを築いた指導者たちによって設立された。それ以来、ISKFレバノンでは、レバノン国内はもとより世界中から指導者や生徒が集まり、トレーニングや学習を行う「マスター・キャンプ」などのイベントを毎年開催している。
わずか20~30人の参加者で始まったISKFレバノンは、COVID-19の大流行とレバノンの経済不況という2つの難題に直面する直前の2019年、300人を超えるメンバーでピークを迎えた。
様々な困難にもかかわらず、ISKFレバノンは生徒基盤を再構築し、日本武道へのコミットメントを維持しながら、粘り強く活動を続けてきた。
現在、ISKFレバノンは、ナイラ・マクール、ウィッサム・アブスレイマン、ガイス・アル・ラヒ各氏の3人のシニア・インストラクターによって率いられている。インストラクターはそれぞれ15年以上の経験があり、国際的な審査員でもある。
彼らは、ISKFを特徴づける規律、伝統、倫理観の訓練と指導に数十年を捧げてきた。
3人の指導者はアラブニュース・ジャパンの取材に対し、「空手、合気道、居合道などの武道を通じて、地域で社会活動を行い、他のNGOと協力して恵まれない子供たちを受け入れ、もてなすなど、日本文化の普及に努めてきました」と語った。
「私たちは日本大使館の支援を受け、助成金や備品を受け取ってスタートしました。このパートナーシップは私たちの成長に欠かせないものであり、将来の活動に向けてさらなる協力関係を模索しているところです」
ISKFレバノンの影響力は、通常のクラスにとどまらない。デモンストレーション、社会活動、様々なイベントへの参加を通して、空手を積極的に広めている。障害者を支援するNGO「Al Younbouh」とともに行進したり、臓器提供を提唱したりと、ISKFレバノンは武道を社会貢献のためのプラットフォームとして活用している。
さらに、ISKFレバノンは毎年、松濤杯と地域チームトーナメントの2つの大きな地元大会を開催している。また、国際大会にも代表を派遣しており、2012年にはわずか10数名の参加者であったISKFレバノンは、着実にその存在感を高め、今年9月にロンドンで開催されるISKFワールド松濤カップには60名近いメンバーが出場する予定である。
これらの活動は、時折スポンサーや資金調達の尽力もあるが、ほぼ自己資金で賄われている。また、ISKFレバノンでは、生徒の空手に対する理解を深めるために技術セミナーを開催しており、しばしば日本人指導者を招いている。
日本の武道をレバノンの文化に適応させることに、困難がなかったわけではない。ISKFレバノンは、時間厳守、謙虚さ、規律といった日本の価値観を植え付けることに尽力しているが、生徒や保護者の抵抗に直面することも少なくない。
「レバノンの生徒たちに、遅刻を許さないなど、規律を守ることの大切さを教えるのは、大変なことですが、必要な道のりでした」とアブースレイマン氏は説明する。「私たちは子どもたちだけでなく、厳しいけれども公平なルールに適応しなければならない親たちも教育しているのです」
ISKFレバノンはまた、定期的な清掃活動を通じて謙虚さを奨励し、生徒の階級や地位に関係なく、トレーニング環境を尊重することを強調している。
同団体の最もインパクトのある取り組みのひとつに、パレスチナやシリアの難民キャンプで子どもたちに空手を教えるというものがある。最初はどうなることかと思ったが、指導者たちは子どもたちの熱意と学ぶ意欲に感動した。
「子どもたちの目に映る興奮は忘れがたいものでした。このクラスが単なるフィジカル・トレーニングではなく、価値観と希望を与えるものであることは明らかでした」
ISKFレバノンは、在レバノン日本大使館と提携し、日本文化を広めるための数々のイベントを続けている。ISKFレバノンの文化交流への献身は、毎年夏と冬に開催される子供たちのためのキャンプにも反映されている。
ISKFレバノンは成長を続けているが、指導者たちは、空手を単なるスポーツとしてではなく、生活様式として広めるという使命感を持ち続けている。この献身は、日本の文化的価値観をレバノンの文脈に融合させ、すべての生徒にユニークで豊かな経験を提供するための継続的な努力に表れている。