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誇り高きジーンズストリートがある日本の児島は、ヴィンテージデニムを愛するファンを惹きつける

児島にある桃太郎ジーンズで、ヴィンテージのミシンを使ってデニムパンツを縫う縫製工。(AP Photo/Ayaka McGill)
児島にある桃太郎ジーンズで、ヴィンテージのミシンを使ってデニムパンツを縫う縫製工。(AP Photo/Ayaka McGill)
桃太郎ジーンズで縫製工として働く高林尚美さん。児島でジーンズを縫っている。(AP Photo/Ayaka McGill)
桃太郎ジーンズで縫製工として働く高林尚美さん。児島でジーンズを縫っている。(AP Photo/Ayaka McGill)
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02 Oct 2024 03:10:41 GMT9
02 Oct 2024 03:10:41 GMT9

児島:デニムはオールアメリカンな生地でありながら、児島という町では、まさに日本のそれにあたる。この町のメインストリートはジーンズストリートと名付けられ、本物のジーンズが旗のように頭上でなびいている。

駅の清涼飲料水の自動販売機には、ジーンズの絵が貼られている。道路は青く塗られ、縁取りはピンクと白で、これは児島ジーンズの縫い目のトレードマークである。

日本観光振興機構によると、この地域にはデニムをテーマにしたカフェも含め、約40のジーンズメーカーや販売店があり、年間約10万人が訪れる。

日本のジーンズは高級志向で、濃い色で丈夫なものが主流だ。世界市場ではごく一部だが、職人技で独自の地位を築いている。児島は、1940年代にルーツを持つビッグ・ジョンなどの人気ブランドを生み出し、現在ではグッチなどの国際的なファッションブランドにも製品を供給している。

ニューヨークのセントジョンズ大学ファッション学部助教授のエマ・マクレンドン氏は、「日本の業界は、マス・マーケティングよりも、より目利きや収集の観点からデニムを見る方法を確立している」と語る。

「ものづくり」の精神はジーンズにも当てはまる

ファッションの中心地としての華やかさを期待して児島を訪れると、がっかりするかもしれない。 ジーンズストリートは古風で、人通りも少ない。 この地域の各企業は比較的小規模で、従業員数は100人ほどである。

そこで出会うのは、「ものづくり」に誇りを持ち、細部にまで丹精を込める人々である。これは、大手自動車メーカーから地元の豆腐店まで、日本全体に浸透している倫理観である。

児島を拠点とするメーカー、桃太郎ジーンズの染色職人、岡本好治氏は、「どちらかというと着物に近い」と表現する。

ジンバブエコットンの糸を大きなバケツの染料に浸すため、彼の肌や爪は青く染まっている。

彼は、藍の適切な状態を嗅覚と触覚で感じ取り、それをまるで生き物のようだと表現する。染料は毎日確認し、混ぜ合わせなければならないため、彼は「365日休みなしの仕事だ」と断言する。

「この特別な色を出すのはそう簡単ではありません」と、岡本氏は最近、製造施設を見学した際にAP通信に語った。「私の人生そのものです」

Made-in-Japanデニムの濃い藍色は、その多くが児島産であることから、非常に独特で、「ジャパンブルー」という名で知られている。「ジャパンブルー」は「児島ブルー」とも呼ばれ、「特に濃い青」という意味である。

児島産のデニムは高価であることを覚悟してほしい。

ここで作られるジーンズは決して安くはなく、比較的お手頃な3万3000円(230ドル)のものから、トップクラスの職人による20万円(1400ドル)以上のものまで、幅広い価格帯がある。

デニム専門のオンラインサイト、デニムハンターズの創設者トーマス・ステゲ・ボイヤー氏は、日本のブランドは「生デニム」を使用しており、それが長持ちすると話す。彼は、安価な大量生産の衣類への反動として生まれた「スロー・クロージング」運動に共感している。

「私たちはただ服を作り過ぎている。サイクルが速すぎると思う。私たちはペースを落とさなければならない」と、コペンハーゲン近郊の自宅(壁にはジーンズが飾られている)からボーイヤー氏は語った。

ファッションの教授であるマクレドン氏の言葉を借りれば、日本の業界は「ジーンズに関する会話を、伝統的な要素や、品質の一形態としての歴史的な詳細について消費者を教育することへとシフトさせている」のだ。

例えば、桃太郎ジーンズには生涯保証が付いており、破れやその他の問題は妥当な範囲で無料で修理してもらえる。2006年にデビューしたブランド、桃太郎ジーンズを展開するジャパンブルー社は、直近の年度の年間売上高は約16億円(1100万ドル)だったと発表した。売上高の約40%は日本国外からのものである。

縫製と工業の歴史を持つ地域

岡本氏と同様に、織機専門家の内田茂氏とミシン担当の竹林尚美氏も、自分には守り、次世代に伝えていくべき特別な技術があると信じている。彼らは、若い縫製工たちを指導しながらそう語った。

2人は、自分たちの機械と特別な関係にあると言う。彼らは機械の音を聞きながら、日々調整を行っている。

ガタガタと音を立てる力織機は、自動車メーカーのトヨタの前身である織物会社が所有していた年代物である。 部品の調達は困難を極める。 また、手動の織機も1台稼働しており、独特の風合いを持つ製品に使用されている。

ジャパンブルーの社長兼最高執行責任者(COO)である鈴木 完尚氏は、この地域の産業の歴史は強みであり、軍服や和服の帯など厚手の生地の縫製、そしてこの地域特有の木綿や藍染めが中心となっていると語る。

だからこそ、ジーンズは一生ものなのだ、と鈴木氏は言う。色落ちやシワは、履き方や持ち主の生き方によって異なる。

「私たちは、その人の人生を物語るような製品を作りたいのです」と彼は言う。

AP

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