
オーストラリア:サッカーは時に不思議な動きをする。
2017年から2021年までの5シーズン、鬼木 達監督率いる川崎フロンターレはJリーグをほぼ完全に支配し、4つのリーグタイトルを獲得した。
2016年の3位フィニッシュを含めると、6年間トップ4から外れたことは一度もなかった。日本国内における最高峰のクラブだったのだ。
しかし、アジアとなると低迷した。ボディービルダーのような体格の犬と小さな子犬を比較するインターネットのミームを思い浮かべてほしい。
2017年から2023年までの6回のコンチネンタル・キャンペーンで、彼らの最高成績は2017年の準々決勝で、1stレグで3-1とリードしていたにもかかわらず、2ndレグで同じJリーグの浦和レッズに4-1で敗れた。
この敗戦は、それ以前の10年間、チームに対する批判であった、Jリーグ初タイトルにあと一歩のところまで迫りながら一歩を踏み出せなかった、軟弱な下半身を露呈するものだった。
2006年、2008年、2009年は準優勝、2013年と2016年は3位だった。
2017年の準々決勝での敗戦は、Jリーグ初タイトルを手にするわずか数カ月前のことで、少なくとも日本では、彼らのメンタリティにスイッチが入ったようだった。
大陸では苦戦が続いた。
2018年と2019年はグループステージを突破できず、12試合でわずか2勝しかできなかった。2022年にもグループステージ敗退が続き、2021年と2023年にはラウンド16に進出した。
しかし、間違いなくアジア最高のリーグで圧倒的な強さを誇っていたチームとしては、期待を大きく下回るものだった。三苫薫、中村敬斗、谷口彰悟、守田英正、田中碧、山根視来、旗手怜央といった海外組や日本代表のスター選手がいた。
タレント揃いのチームであったが、欧州サッカーに多くの選手を奪われた川崎は、ここ数年、その優秀さを維持するのに苦労し、2年連続で8位と低迷している。
昨シーズン終了後、鬼木監督は鹿島アントラーズ(現在国内首位)に移籍し、後任にはアビスパ福岡出身の長谷部茂利監督が就任した。
サッカーがそうであるように、もちろん、この変化と転換のシーズンこそ、川崎をアジアの王者の座に就かせるという、圧倒的な支配力を誇っていた時代には成し得なかったことを成し遂げようとしている崖っぷちに立たせるものなのだ。
イーストゾーンのリーグステージを2位で終え、ラウンド16では中国の強豪、上海申花を破ったが、ジェッダにはほとんど期待されていなかった。
カタールの長年のチャンピオン、アル・サッドに勝つには延長戦が必要だった。準決勝でアル・ナスルの国際的なスター選手たちと激突することが彼らの終着点になると予想されていたが、それでもクラブとしての現状を考えれば、成功したと見なされただろう。
しかし、長谷部と彼のチームには別の考えがあった。
アル・ナスルの肩に重くのしかかるような期待という重荷を背負うことなくプレーできたのか、フロンターレが主導権を握り、最も安心してプレーできたように見えた。
伊藤達哉のセンセーショナルなボレーシュートで先制し、サディオ・マネが同点に追いついた後、伊藤のプレスが2点目のチャンスを作った。新世代のスターの一人である小関裕斗がゴールを決め、驚きのリードでハーフタイムを迎えた。
年齢を感じさせない家長昭博がゴールを決めて3-1としたとき、自分の見ているものを信じられた人はほとんどいなかっただろう。先発メンバーに外国人選手が1人しかおらず、攻撃陣には19歳と20歳の選手、守備陣の中心にも20歳の選手がいたのだから、こんなことはあり得ないはずだった。
「二人の若い選手がステップアップしてくれた」と長谷部監督は試合後、ウィキペディアのページさえないほど経験の浅い小関と神田 奏真について語った。
「彼らはまだ発展途上かもしれないが、20歳以下のレベルでは経験を積んでいる。彼らの主な仕事は(アル・ナスルのMFマルセロ・)ブロゾビッチを封じ込めることだったが、前線にもよく貢献していた」
「今夜は規律と姿勢が鍵だった。この考え方を植え付けるために選手たちとは定期的に話をしてきたし、彼らはよく応えてくれた。全員が素晴らしいコミットメントを見せてくれた。これが私たちが目指してきたサッカーだ」
また、ゴールを決めた伊藤は試合後、川崎の勝利と同様に日本サッカーの勝利でもあると語った。
「これは僕らのクラブにとってだけでなく、Jリーグにとっても大きな意味がある。日本サッカーのレベルを示している。試合前、監督は僕らがここに来たのは物事を変え、歴史を作るためだと言った。次の試合では、その使命を全うしたい」
不利な状況の中でここまで勝ち上がってきたのだから、このままでは歴史に名を刻むことはできない。
このような予測不可能性があるからこそ、サッカーは私たちが愛するゲームなのだ。時には意味をなさないこともあるが、それがまたサッカーを美しいものにしている。