
シャム・エルムトワリ、ドバイ
日本式カフェのSimply Oishiiは、本格的な日本のペストリーやパフェを通じて日本の味をドバイに届ける。2019年3月にインド生まれUAE育ちのサビタ・アブドゥル・サリムさんが立ち上げたお店だ。
カフェ開店のインスピレーションとなったものは日本文化、特にアニメに魅了されたことだ。
「一度アニメの『名探偵コナン』 を観ていたら、コナンが背の高いグラスに入ったおいしそうなフルーツとアイスクリームを食べているシーンがあったんです。普通のアイスとは違って見えて、その名前を一生懸命調べました。その後の『名探偵コナン』のエピソードでは、グラスを横取りされたコナンが『パフェ、パフェ』と叫んでいて。それで名前を知ったわけです」とアブドゥル・サリムさんはアラブニュース・ジャパンに語った。
これをきっかけに、アブ・サリムさんはやがて悪名高き桜の季節に日本を訪れることになる。
「それから2年後、家族が私の日本旅行についてきて、パフェを食べているうちにドバイでパフェのお店を開くよう勧めてくれたんです。それで、Simply Oishiiが生まれました」と彼女は語る。
アブ・サリムさんによると、このカフェには日本のポップカルチャーの美学である「カワイイ」と美味を意味する「オイシイ」にインスパイアされた明確なコンセプトがあるのだと言う。
このコンセプトの枠組みと創業者の想いの強さにより、フードと店内全体の雰囲気の両方において目を引く商品を通じた日本文化の要素の融合が生まれた。
「狐のお面や能面、ひな祭りの人形、だるま、花魁人形、博多人形、こけし、様々なアニメのフィギュア等で店内を飾っています。それぞれの人形が日本の古美術店で仕入れた本格的なものです」とアブ・サリムさんはアラブニュース・ジャパンに語った。
来店客は、完成後天井に飾るか持ち帰ることができる折り紙のアクティビティに挑戦したり、カフェのマンガのセレクションから読書を楽しんだりできる。
カフェの内装、特に壁の組子(日本の木工細工)も日本の影響を受けたものだ。
アブ・サリムさんは「店内の壁を様々な組子のパネルで飾り、それぞれに日本の名前を付けました」と語る。「店内に日本文化を反映させる取り組みの一環です」
日本文化は同様にカフェのフードにも反映されており、日本のチーズケーキや生食パン等のペストリー類、さらには寿司や弁当、ラーメン等の食事メニューまで提供している。
また、デザート用に日本の薄力粉を輸入している唯一のカフェであることも同カフェの自慢だ。日本のケーキ独特の「しっとり、ふわふわ」な質感が得られ、Simply Oishiiの「根強い日本人ファンベース」を魅了している。
同カフェの紫いもラテや抹茶ラテ等のフレーバーラテも有名だ。
また、アニメキャラを象った遊び心あふれるペストリーも販売している。シュークリームはリラックマ、マカロンはその他の一連のアニメキャラとなっている。
アブ・サリムさんによると、自身の国を含むほとんどの料理では「ひとつの味に混ざり合っていくが、日本料理ではそれぞれの味が際立っている」ことに気づいたとアラブニュース・ジャパンに語った。
様々に特徴的な日本の味をこよなく愛するアブ・サリムさんだが、その想いの強さがUAE人を含むあらゆる文化的背景の来店客を引き寄せ、基本的にアラブ的な環境の中で日本文化の様々な側面を経験するよう促している。