
【ロンドン時事】英王室は9日、エリザベス女王の夫フィリップ殿下が同日、ロンドン郊外のウィンザー城内で死去したと発表した。99歳だった。「放言癖」でしばしば世間を騒がせながらも、英君主の配偶者期間としては最長となる73年4カ月の間、英史上最高齢の君主である妻を公私両面で支え続けた。
英議会での「女王演説」に向かうエリザベス女王(中央左)と夫フィリップ殿下(同右)=2010年5月、ロンドンの議会議事堂(EPA時事)
英議会での「女王演説」に向かうエリザベス女王(中央左)と夫フィリップ殿下(同右)=2010年5月、ロンドンの議会議事堂(EPA時事)
殿下は2017年に公務から引退。今年2月に体調不良で入院し、3月半ばに退院した後、静養していた。
王室は声明で「女王の愛する夫の死を発表することは深い悲しみだ」と表明。ジョンソン首相も「(殿下は)数え切れない若者たちを鼓舞し、その人生を形づくった。国として、そして王国として謝意を表したい」と述べた。王室によると、殿下は「安らかに息を引き取った」という。
フィリップ殿下は1975年、エリザベス女王と共に初来日。89年2月には昭和天皇の「大喪の礼」に参列した。上皇ご夫妻とも長い間親交を深め、2012年には上皇ご夫妻が英国を訪れ、エリザベス女王の即位60周年を祝った。
◇フィリップ殿下
フィリップ殿下 21年、ギリシャのケルキラ(コルフ)島生まれ。政変のため一家でギリシャを脱出。28年に渡英し、スコットランドの名門寄宿校ゴードンストウンで学んだ。39年、海軍に入隊し、第2次大戦に従軍した。47年、エリザベス王女(後の女王)と結婚。52年の妻の国王即位に伴い軍務から退いた。09年、英君主の配偶者として歴代最長を記録。慈善活動にも熱心に取り組んだ。女王との間に3男1女。
JIJI Press