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日本真珠のアラブ王子、ハジャー氏にインタビュー

ピエール・ハジャー氏。(提供)
ピエール・ハジャー氏。(提供)
商談を行うピエール・ハジャー氏。(提供)
商談を行うピエール・ハジャー氏。(提供)
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19 Oct 2021 04:10:55 GMT9
19 Oct 2021 04:10:55 GMT9

ナダル・サモーリ

アラブニュース・ジャパンは、真珠の商人として父の遺志を継いだサルキス・ハジャー氏の息子、ピエール・ハジャー氏(現在69歳)に話を伺った。

ハジャー氏はシリアのアレッポで生まれ、19歳で日本に渡るまでベイルートに住んでいた。現在は、自身が経営するBelpearl(ベルパール)社の取締役を務めている。

「若くして異文化の中で成長すると、どうしても新しい環境から影響を受けます。また、言語、文化的な表現、人間関係など、膨大なスキルを身につけざるを得ません。異文化の中に身を置くことで、何が可能で何が不可能なのか、私の領域が広がりました」とハジャー氏は語った。

ハジャー氏は、外国への移住をはじめ、さまざまな困難に遭遇してきた。

「日本人は若い外国人を受け入れようとしませんでしたし、特に私たちが一緒に仕事をした養殖の人たちに対しては、彼らの硬い精神性をなんとかかいくぐり、共通点を見つけなければなりませんでした。結局、私は彼らの国で働いているのだから、私が適応するしかありません。日本の一次産業の人たちは、金の力に屈しない強い価値観を持っています。他の国でもそうですが、都会の人が利益を重視するのに対して、田舎の人は価値観を重視する傾向があります」とハジャー氏はコメントしている。

ハジャー氏は日本での経験から、日本人のように量よりも質を重視するようになり、時間をかけ、生産量を絞り、質やディテール、微調整を行うことを追求するようになったという。

養殖真珠は天然の真珠とは異なり、人の手が加わった産物である。ハジャー氏は、一般的な価格の真珠の1割近い価格の品物に中東の人々が惹かれているのを見て、イエメンやマラケシュなどのアラブ諸国、東ヨーロッパなどを中心に、世界に向けて真珠を輸出するようになった。

「『あこや真珠組合』の真珠オークションへの参加申請を受理してもらうのに、10年かかりました。毎年申請しては断られていました。10年後に組合のリーダーが交代してから、ようやく参加できるようになりました」とハジャー氏は説明する。

文化だけではなく、ビジネスや人生の指針となった父親から学んだことも多く捧げる。

「父のサルキスは低所得者層の出身で、かつては石を削る石工でした。そのため、アラビア語で『石を削る人』を意味する『Hajjar』が父の名前に由来し、姓として受け継がれています。サルキスは成績優秀な人物で、私にもそうなるように促してくれました。自分と同じように高い目標を持つようにと、常に私を励ましてくれました」とハジャー氏は語り、また大きな支えとなったのは妻の存在だとも語った。

ハジャー氏は、自分の成功には運も影響していることを謙虚に認め、真珠を生み出す分泌物の層のように、複雑な要素が重なり合ったことが成功につながったと考えている。彼は、適切な時期に適切な場所にいたこと、そして適切な指導者、肯定してくれるパートナーに出会えたこと、そして運があったことを挙げている。

ハジャー氏の父は、1933年に天然真珠の商人として評判になり、アジアの商人とのつながりを築き始め、最終的にはシリアの小さな工房を日本の大手真珠会社に変えていった。世界の真珠資源の8割を占める日本に対し、タイミングよく神戸港に進出したことが成功の要因となった。

日本特有のビワ貝は、水深1〜5メートルの浅い海面に生息し、産出されるホワイト、クリーム、ピンク、シルバーピンクなど、さまざまな色に輝く3〜10ミリの真珠は優雅さの象徴となっている。

カキは本来、真珠層と呼ばれる絹のような結晶の分泌物で、寄生虫から身を守っている。その輝きを伴う分泌物が堆積し、ゆっくりと貴重な真珠を形成していくのだ。真珠が古来より愛されてきたのは、他の宝石に比べて特別なカットや加工を必要とせず、自然な輝きを持つ美しさを生かせるからである。

真珠はよく知られている宝石だが、養殖真珠は全く新しく誕生した技術であり、最近では世界の真珠生産量のほとんどを占めている。

養殖真珠はイガイまたはカキから産出され、養殖は、貴重な真珠を得るために管理された環境でカキを飼育することである。養殖真珠は、かつて日本の実業家だった御木本幸吉(みきもと こうきち)氏が、自らのブランド「ミキモトパール」で業界をリードしたことに由来する。

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